Covered Beatles (16) Past Masters Volume Two 編

「ビートルズのオリジナル・ソングを全曲違う人のカヴァー・ヴァージョンで集めることができるか?」という問いに答えるべく始めた Covered Beatles 。ついに最終回に到達しました。去年の3月に書き始めたので、1年半とちょっと。途中ブランクもはさみつつ、ビートルズ・カヴァーの深い森を歩み続けてきました。いやー長かった。ちょうどリマスター盤がリリースされた時期と重なったので、検索ワードでひっかかって通りすがりにのぞいてくださった方も多かったのではないかと思います。最後の1枚は後期のアルバム未収録曲・別ヴァージョンを集めた「Past Masters Volume Two」。「Volume One」のときと同じく、別ヴァージョンが収められている曲は、オリジナル盤の時に紹介したのとは別のカヴァーを選んでいきます。

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1) Day Tripper / Otis Redding (from"Dictionary of Soul"1966)
魅力的なギター・リフのせいか、カヴァー・ヴァージョンの多い曲です。サンバでノリノリのセルジオ・メンデス、BBCセッションで自由奔放に弾きまくるジミ・ヘンドリックス、YMOのテクノ・カヴァーなんていうのもありました。しかしやっぱりこの曲のカヴァーといえばオーティス・レディング。オーティスにとっては同時代のヒット曲ですが、完全に自分の音楽にしてしまっているところが凄い。「イン・ヨーロッパ」のライヴ・ヴァージョンも盛り上がっていて、聴きごたえがあります。

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2) We Can Work It Out / Stevie Wonder (from"Signed, Sealed & Delivered"1970)
これもカヴァー・ヴァージョンの多い1曲。メジャーのヴァースとマイナーの中間部の対比が見事で、カヴァーしがいのある曲だからでしょうか。タイトなリズムで躍動感ある80'sポップにリメイクしたチャカ・カーン、ブルージーかつソウルフルな演奏で大変身させたハンブル・パイなども好きですが、この曲のカヴァーとしては大ヒットしたスティーヴィー・ワンダーのヴァージョンは外せません。これまた完全にスティーヴィーの世界。間奏のハーモニカも最高です。

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3) Paperback Writer / Tempest (from"Living In Fear"1974)
この曲のカヴァーとして代表的なものですが、これを超えるカヴァーがなかなか出てきません。アラン・ホールズワースがいたジャズ・ロック・バンドとして有名なテンペスト。これはホールズワース脱退後のセカンド・アルバムで、バンドの中心人物であるドラマーのジョン・ハイズマンによる手数の多いプレイが堪能できます。解釈としてはがっちりとしたハード・ロック的演奏というべきでしょうか。この他のヴァージョンとしては、まったく無名の人ですがアリソン・ソロのカヴァーが、テンペストをさらに進化させたヘヴィ・メタル的解釈でなかなかでした("It was 40 Years Ago: A Tribute To The Beatles"2004 に収録)。

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4) Rain / Todd Rundgren (from"Faithful"1976)
これまでの Covered Beatles の選曲からおわかりの通り、私はいわゆる「完コピ」系の演奏はあまり好みません。ビートルズそっくりの演奏を聴いても面白くもなんともないし(それならビートルズのオリジナルを聴いていた方がよっぽどいい)、各人がそれぞれの曲でどのような個性を表現しているのかを楽しみたいのです。もちろん個性ばっかり強調しすぎると、どうしてビートルズの曲をやっているのかよくわからなくなってしまうので、そのあたりの匙加減がアーティストの腕の見せ所ということになります。さて、前置きが長くなりましたが、トッドのこのカヴァーは(同じアルバムに収められている「Strawberry Fields Forever」同様)かなり徹底的な完コピです。しかしながら、このアルバムにおけるトッドのカヴァーはどこかで取り上げたいと考えていました。それは、この完コピには「思想」があるからです。すなわち、トッドというオリジナリティの塊のような人が偏執狂的に完コピすることによって、そこからどうしようもなく滲み出てしまう「個性」を感じることができるのです。もちろんこれはトッドだからできることであって、あまたある凡庸なコピー・バンドの完コピとは全く次元の違う話ですので、お間違えなきよう。最後に「She Said She Said」が入ってくるところもセンス抜群です。他の人のヴァージョンでは、サイケデリック的要素は完全に捨て去ってブルーズ・ロックにしているハンブル・パイや、ノスタルジックな感情に満たされたエド・ハーコートが気に入っています。

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5) Lady Madonna / Caetano Veloso (from"Qualquer Coisa"1975)
この曲の一番楽しいカヴァーは、もちろんファッツ・ドミノによる「先祖返り」ヴァージョンですが、同じパターンはもう「Lovely Rita」でやってしまっているので、ここではカエターノ・ヴェローゾを選曲してみましょう。名盤「クアルケル・コイザ」後半のクライマックス、ビートルズ・カヴァー3連発の最後がこれです。アコースティック・ギターの弾き語りによるリラックスしたブラジリアン・テイストのカヴァー。さらっと弾いていますが、実に新鮮です。ちなみに、このアルバムのジャケットはもちろん「Let It Be」を意識しています。

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6) The Inner Light / Schola Musica (from"The Beatles Gregorian Songbook: The Liverpool Manuscripts"2005)
「リヴァプール郊外にある修道院で、中世のグレゴリオ聖歌の写本が発見された。驚くべきことに、そこにはビートルズの曲や詞と極めて似た内容の聖歌が書き記されていたのだ…」という手の込んだ解説が入った、グレゴリオ聖歌のスタイルによるビートルズ・カヴァー集より。解説によると、なんでもこれらの聖歌は当時その修道院にいたジョン師、ポール師、ジョージ修道僧によって作られたもの。その中でもジョージ修道僧は異教に魅せられてインドにまで足を運び、仏教やヒンズー教の影響を受けた聖歌をたくさん書いたので、修道院長に異端として幽閉されてしまったんだとか。その「異端の聖歌」のひとつがこの「The Inner Light」。グレゴリアン・チャントのイメージ通りのソレム唱法が、この曲のインドっぽい旋律とマッチしているところがなかなか面白い。瞑想的な雰囲気において洋の東西が合一している感じです。

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7) Hey Jude / Wilson Pickett (from"Hey Jude"1969)
超有名曲だけに、ビング・クロスビーからダイアナ・キングに至るまで大量のカヴァー・ヴァージョンが存在します。曲自体にゴスペル的な要素があるので、やはりソウル/ジャズ系の演奏が光っている印象。その中でも決定版はやっぱりこのウィルソン・ピケットでしょう。これぞサザン・ソウル。前半は抑えながらも、ホーン・セクションが盛り上がる後半では大爆発してシャウト!ほとんどウィルソン・ピケットのために書かれた曲のように聴こえてしまいます。ちなみに、この演奏に参加しているグレッグ・オールマンがこの曲をすすめたとか。

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8) Revolution / Thompson Twins (from"Here's To Future Days"1985)
この曲のカヴァーについて書籍やネットに書かれている意見を読むと、なぜかこのトンプソン・ツインズによるヴァージョンはあまり人気がないようです。うーんなぜでしょう、私は大好きです。リアルタイムで聴いていたということもあるのですが、とにかくラウドなギター・サウンドが素晴らしい。弾いているのは、当時ビリー・アイドルのバンドにいたスティーヴ・スティーヴンス(ライヴ・エイドでも弾いてました)。確かに、この曲にもともとあったメッセージ性みたいなものはかけらも感じられないのですが、このシングルにおける攻撃的なギター・サウンドに着目したカヴァーということでもっと評価されてもよいと思います。もうひとつ、ジュールス・ホーランドのビッグ・バンドをバックにステレオフォニックスが演奏するグルーヴィーなカヴァーも最高。ついでに注意。ニーナ・シモンがこの曲をカヴァーしているという記述を時々見かけますが、あれは「とってもよく似ている別の曲」です(ウェルドン・アーヴィンとの共作)。そしてそれも名曲。

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9) Get Back / Amen Corner (from 7"single "Get Back / Farewll To The Real Magnificent Seven"1969)
「Get Back」のカヴァーも山ほどあります。「Let It Be」ではアルバムのラストということで寂寥感のあるロッド・スチュワートを入れましたが、演奏としてはアイク&ティナ・ターナーのヴァージョンの方がカッコいいかもしれません。ファンキーなアル・グリーンも素晴らしい。しかし両者とも既出なので、ここではエイメン・コーナーのヴァージョンを紹介しましょう。イギリスはウェールズ出身のロックバンドですが、R&Bに強く影響されたソウルフルな演奏が特徴で、何も知らずに聴いたら黒人のグループだと思うでしょう。

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10) Don't Let Me Down / Gene (from"To See The Lights"1996)
ブリットポップ時代を駆け抜けたバンドの、初期のシングルB面や未発表ヴァージョンを収めたコンピレーションの中に入っているカヴァーで、ラジオ・セッションでのスタジオ・ライヴです。ゴツゴツとしたバンド・サウンドとヴォーカル(モリッシーに似ているとよく言われた)の魅力で、凡庸なカヴァーから頭ひとつ抜け出した感があります。この曲のカヴァー・ヴァージョンで私が大好きなのはポール・ウェラー。女声コーラス入りでソウルの感覚を前面に押し出した演奏でした。

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11) The Ballad of John and Yoko / Kevin Watson (from"FestivaLink presents: YarmonyGrass 2007 Vo.1"2007)
曲の内容が内容だけに、カヴァーはあまり多くありません。初期のティーンエイジ・ファンクラブによる貴重なカヴァー・ヴァージョンがありますが、彼らにしてはいまいちひねりがなく、面白みに欠けます。ちょっと目先を変えて選んでみたのがこちら。私もあまり詳しくないのですが、アメリカにはヤーモニーグラスというフェスティヴァルがありまして、毎年コロラド州の川のほとりにみんなで集まって自然を楽しんだりバーベキューをしたりジャムバンドの演奏を聴いたりするらしいです。その2007年のライヴ録音の中で、ケヴィン・ワトソンというあまり有名ではないシンガーがギター一本の弾き語りでこの曲をやっています。これがなかなか新鮮で面白い。エンディングも洒落ているし、悪くないです。

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12) Old Brown Shoe / Leslie West (from"Songs from The Material World: A Tribute To The George Harrison"2003)
シングルB面ながらジョージの傑作のひとつに数えられるこの作品を、元マウンテンのレスリー・ウエストがカヴァーしています。のっけからスライド・ギターをギュインギュイン弾きまくって、原曲とは全然違う泥臭いサザン・ロックにしてしまっているので口あんぐり。最初聴いたときは何の曲かまったくわかりませんでした。でも、ジョージはビートルズ後、クラプトンなどと一緒にサザン・ロックにも関与していくので、こういう解釈もアリでしょう。豪快なスライド・ギターに酔いしれるパワフルなカヴァーです。

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13) Across The Universe / David Bowie (from"Young Americans"1975)
「Let It Be」ではさらっとしたフィオナ・アップルのヴァージョンを選んだので、対照的にこちらではアクの強いデヴィッド・ボウイのヴァージョンを。このカヴァーにはジョン・レノンがこの曲に込めた瞑想的なニュアンスはどこにもなく、ひたすらボウイが熱唱します。やたらと力が入った後半のシャウトも聴きもの。「Let It Be」のところでも書きましたが、ルーファス・ウェインライトのカヴァーも好きです。

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14) Let It Be / Gladys Knight & The Pips (from"If I Were Your Woman"1970)
ゴスペル・フィーリングに溢れる曲。だからこそオリジナル盤のときはアレサ・フランクリンを選んだのですが、このグラディス・ナイト&ザ・ピップスのヴァージョンも素晴らしい。他のソウル・シンガーのヴァージョンに比べると粘っこさは抑えて、よりポップ感のあるバラードとして歌っています。ついでにもうひとつ。ビートルズの「Let It Be」はアルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョンでギター・ソロが全く違いますが、このグラディス・ナイトのヴァージョンはちゃんと「Past Masters」と同じく、シングル・ヴァージョンのギター・ソロのメロディを弾いています。そういえば、歌詞を自分流に変えてしまったアイク&ティナ・ターナーのカヴァーもありました。

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15) Dis-moi je t'aime, dis-le, dis-le moi (You Know My Name) / Gerard Saint Paul (from"10 hits de Lennon & McCartney"1970)
この最後の曲が、ビートルズの全オリジナル・ソングの中で最もカヴァーを探しにくい曲だと思います。こんなふざけた曲をカヴァーしている人が本当にいるんでしょうか。いるんです。フランスのジェラール・サン・ポール。わけのわからないカヴァーです。タイトルからして「You Know My Name」の訳ではないし、内容もフランス語と英語のチャンポン。だいたい「レノン&マッカートニーの10のヒット曲」というアルバムでこの曲を選ぶ意図がよくわかりません。このシュールで馬鹿馬鹿しいセンスが、まさにこの曲の本質を突いていると思います。抱腹絶倒の名(迷?)カヴァーです。

さて、ついに終わりました。「ビートルズのオリジナル・ソングは、全曲違う人のカヴァーで集めることができる」。無事に証明することができました。

でも私はまだ、あの曲はあのヴァージョンの方がよかったかなあとか、あれとあれは入れ替えた方が良かったかなあとか、いろいろ考えてしまっています。どうやら自分が思った以上にビートルズ・カヴァーの森に深く入り込んでしまっているようです。良さそうなカヴァーがあったらまだまだ聴いてみたいと思っているので、どうやらまだしばらくこの森からは抜けられそうにありません。

もし、この Covered Beatles を全部読んで下さった奇特な方がいらっしゃいましたら、ぜひご意見を頂けるとうれしく思います(ひとりのビートルズ・ファンとして)。そしてぜひ、あなたにとって大切なビートルズのカヴァーを教えてください。よろしくお願いします。

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Covered Beatles (15) Let It Be 編

再開した Covered Beatles の先を急ぎましょう。ついにラスト・アルバム(発売順では)の「Let It Be」の登場です。このアルバムは同名映画のサントラであり、内容は未発表に終わった「Get Back」セッションの記録をまとめたものなので、作品としての統一感はあまりないのですが、晩期ビートルズの姿をありのままに映し出している点で貴重です。カヴァー意欲をそそる名曲も多し。

I_am_sam







1) Two Of Us / Aimee Mann & Michael Penn (from orginal soundtrack "I Am Sam"2001)

オリジナルではジョンとポールがデュエットするこの曲(映画では1本のマイクをふたりで分け合って歌うシーンが感動的)を、ビートルズ・カヴァー好きには外せない「アイ・アム・サム」のサントラより。選曲のポイントはズバリ、エイミー・マンとマイケル・ペンのおしどり夫婦が歌っていること。誰もがオリジナルの演奏にジョンとポールの関係を聴いてしまうように(本当はポールとリンダのことらしいのですが)、この曲の場合どんなふたりが歌っているのかということが結構大事なのではないかと思います。このカップルの精神的な結びつきを感じられるこのカヴァー、何度聴いても気持ち良い。そういう意味では、同じサントラに入ってるニール&リアム・フィンの父子デュオも好きです。

Live






2) Dig A Pony / Screaming Headless Torsos (from"Live"2002)
このカヴァーを itunes で発見した時には、こんなマニアックなバンドの曲がネット上に出回っていて大丈夫なのかと心配してしまいました。変態系ギタリストとして有名なデヴィッド・フュージンスキー(フューズ)率いる変態系ファンク・バンドの1996年ニューヨークでのライヴを収録したアルバムより。変態系ヴォーカリストのディーン・ボウマンもノリノリの絶好調、フューズも弾きまくりです。このジョンのお遊び的な感覚のワルツがこんなかっこいいファンク・チューンに生まれ変わるなんて、脱帽です。そういえば原曲もルーフ・トップ・セッションのライヴでした。

Pleasantville






3) Across The Universe / Fiona Apple (from original soundtrack "Pleasantville"1996)
ジョンの名曲だけに有名なカヴァーも多く、選曲が悩ましい1曲です。完全に自分の世界で勝負するデヴィッド・ボウイ(「ヤング・アメリカン」収録)のパワフルな歌唱も素晴らしいし、ジョンよりも明らかに上手いルーファス・ウェインライト(「アイ・アム・サム」サントラ収録)のヴァージョンも定評があります。真っ暗闇で演奏しているようなクラムボンの瞑想的なカヴァーも面白い。しかし悩んだあげく、コンピレーションとしての流れも考えてここはフィオナ・アップルでいかがでしょうか。当初は「プレザントヴィル」のサントラに収められ、後に日本盤のボーナス・トラックなどにも入ったこのカヴァー、淡々としていながらも全面的にフィオナの感性で塗り直された新鮮なヴァージョンです。

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4) I, Me, Mine / Marc Ford (from"Songs From The Material World: A Tribute To George Harrison"2003)
このジョージのヘヴィーなワルツは、ジョージ追悼トリビュート盤に収められた、元ブラック・クロウズのギタリスト、マーク・フォードのカヴァーで。映画では、この曲にあわせてジョンとヨーコが踊るシーンが印象に残っています。マーク・フォードの解釈は原曲よりさらにブルージーでヘヴィーなもの。シャッフル部分の重いブギ感もいいです。

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5) Dig It / Leibach (from"Let It Be"1988)
こんな曲にもカヴァーがあってよかった。ビートルズ・カヴァー好きには有名なスロヴェニアのバンド、ライバッハの「Let It Be」カヴァー・アルバムに収められたヴァージョンです。ジャンルとしてはインダストリアルということになるのでしょうが、ひたすら個性的。またこのアルバムは「Let It Be」のカヴァー・アルバムでありながら、なぜか「Let It Be」は収められず、かわりに「Get Back」が入っていることでも知られています。

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6) Let It Be / Aretha Franklin (from"This Girl's In Love With You"1970)
アトランティック・レコードの創始者であるアーメット・アーティガンは「この曲はもともとポールがアレサのために書いた曲」と語っていたそうですが、本当かしらん。でもその言葉も信じたくなってしまうようなカヴァーです。名曲だけにカヴァーの数も半端ではなく、中でもグラディス・ナイト&ザ・ピップス、レイ・チャールズ、キング・カーティスといった人のカヴァーが素晴らしい出来。ゴスペル・フィーリングたっぷりの曲なので、ブラック・ミュージックの人の解釈にやっぱり説得力があるのです。そういう意味で、やっぱりゴスペル感覚たっぷりのアレサが素晴らしい。後半のフェイクによる盛り上がりも凄い。

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7) Maggie Mae / The Vipers Skiffle Group (from"Great British Skiffle: Just About As Good As It Gets!"2008)
トラディショナル曲のビートルズによるカヴァー。ビートルズが前身のクオリーメン時代からよく演奏していた曲です。オリジナル演奏と呼べるものはないかな~と思っていたら、オムニバスの中にありました。50年代のロンドンで大活躍していたスキッフル・グループ、ザ・ヴァイパーズによる録音です(ただしタイトルは「Maggie May」)。これがまさにビートルズの「Maggie Mae」そのまんまで、ビートルズもスキッフルから出発していることがよくわかります。なお、このグループのプロデューサーは実はジョージ・マーティン。偶然なのかどうか…。

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8) I've Got A Feeling / KGB (from"KGB"1975)
マイク・ブルームフィールド、バリ・ゴールドバーグ、カーマイン・アピス、リック・グレッチ、レイ・ケネディという豪華メンバーが集まったスーパー・バンド(しかしこのメンバーでのアルバムはこの1枚のみ)によるカヴァー。冒頭からマイク・ブルームフィールドのスライドがキュイ~ンときてしびれます。ソウル感たっぷりのレイ・ケネディのボーカルも素晴らしく、女声バック・ヴォーカルがこれを引き立てる。この曲のファンキーでソウルフルな側面にスポットを当てた名解釈だと思います。他のカヴァーとしてはパール・ジャム(ファースト・アルバム「テン」の日本盤ボーナス・トラック)も決して悪くないのですが、「All these years I've been wandering around…」のところでエディ・ヴェダーが高音が出ずに失敗してるのが気になります。

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9) One After 909 / Willie Nelson (from"Come Together: America Salutes The Beatles"1995)
ジョンとポールの若書きによるロックン・ロール・ナンバーを、カントリー界の大御所ウィリー・ネルソンがカヴァー。何しろトレイン・ソングといえばカントリーの定番です。ここでも疾走する汽車の汽笛をハーモニカで鳴らしながら駆け抜けます。これがなかなか爽快。

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10) The Long And Winding Road / Ray Charles & Count Basie Orchestra (from"Ray Sings Basie Swings"2006)
なんとレイ・チャールズとカウント・ベイシー・オーケストラの夢の共演による「The Long And Winding Road」。これは凄いです。ただし本物の共演というわけではありません。1973年に両者がライヴで共演したレコーディングが新たに発見され聴いてみたところ、レイの歌は素晴らしかったものの、オーケストラの録音があまりに貧弱だったため、オケは新たにスタジオで新しく取り直して編集技術でうま~くはめこんだ…ということらしいです。まあいずれにせよソウルに溢れた素晴らしい演奏。レイは凄い。この曲がこんな風になるんだ…ということが驚きをもって体感できます。

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11) For You Blue / Greg Hawkes (from"The Beatles Uke"2008)
ここでちょっと息抜きのインストを。ジョージのフォーク・ブルーズを、元カーズのキーボーディストだったグレッグ・ホークスがウクレレだけでやってみましたというカヴァー。これがなかなか面白く聴けるのは、ジョージも後年ウクレレを愛好していたから。まるでジョージが演奏しているような気がしてくるから不思議で、ジョージへの愛が感じられる素敵なヴァージョン。

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12) Get Back / Rod Stewart (from original soundtrack "All This And World War II"1976)
この名曲も数多くのカヴァー・ヴァージョンがありますが、最後はロッド・スチュワートに締めてもらいましょう。壮大に始まるこのヴァージョン、本編のアレンジには大きな冒険はないものの、やはりロッドがあの声で歌っているところが非常に魅力的。そして最後、曲が終わってからロッドが冒頭の歌詞を呟くように歌うところが、なんだか寂寥感と開放感の両方が感じられてとてもいいのです。ひとつのバンドがここで終わったんだ、ということを感じられるカヴァー・ヴァージョンを、このアルバムの最後に置いておきたいと思います。

オリジナル・アルバムはこれですべてカヴァーを紹介し終わりました。次回は、最後に残った「Past Masters Volume 2」です。

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Covered Beatles (14) Abbey Road 編

久しぶりの Covered Beatles です。いろいろとコメントも頂いていたのに、あともう3枚というところで長々とお休みしてしまって申し訳ありませんでした。まあ、別に仕事で書いているわけでもないので許して下さい。初めての方のためにひとことだけ説明しておくと、ビートルズの全公式録音曲(ビートルズによるカヴァー曲は除く)を全部違う人のカヴァーで探してみようという酔狂な試みです。今回は実質的ラスト・アルバムの「Abbey Road」。

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1) Come Together / Ike & Tina Turner (from"Come Together"1969)
アルバムのトップを飾るこの曲からして、有名アーティストによる名カヴァーが目白押しなのだから、選曲者としては頭が痛いところです。原曲そのまんまのエアロスミス、渋いブラザーズ・ジョンソン、ファンク路線のサラ・ヴォーン、いずれも一聴の価値はありますが、ここではアイク&ティナ・ターナーのパワフルなカヴァーで。基本的には原曲のニュアンスをなぞりながらも、ティナの絞り出すようなソウルフルなヴォーカルがオリジナルにはない魅力となっています。このロックともソウルともつかないサウンドがアイク&ティナならではの味で、数多いこの曲のカヴァーの中ではキラリと光るものを感じます。次のアルバム「Workin' Together」(1970)に収められた「Get Back」のカヴァーも同じ路線で、いい出来です。

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2) Something / Carmen McRae (from"Just A Little Lovin'"1970)
この名曲もカヴァーに恵まれているだけに、誰のヴァージョンにするかはかなり悩ましい問題です。アイザック・ヘイズの11分超のカヴァーは確かに凄いけれど、アルバムの2曲目で聴きたくないというのが正直なところ。「Something」大好きと公言していたフランク・シナトラの録音は、あまりに完璧すぎて面白みに欠けると思うのは私だけでしょうか。そこで、大物ジャズ・シンガー、カーメン・マクラエの1970年のアルバムから選んでみました。ジャズというよりはポップでムーディーなアレンジで、歌いまわしにはこの人ならではのゴスペル感覚が溢れています。このアルバムには他にも「Carry That Weight」「Here, There And Everywhere」のカヴァーも入っており、裏名盤的な評価を得ています。そういえばカーメンには「Got To Get You Into My Life」のカヴァーもありました(「For Once In My Life」収録)。

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3) Maxwell's Silver Hammer / Anita Harris (from"Anita In Jumbleland"1968)
ポールお得意のノヴェルティ・ソングの決定版的作品。この不気味で楽しい曲は、普通にカヴァーしたのではなかなかその面白みが伝わりません。そこでイギリスの女性タレント、アニタ・ハリスが出演したテレビ番組のサントラより選曲。子供向けのミュージカル番組らしいのですが、効果音を含めてノヴェルティ感覚たっぷり、楽しさ満点のカヴァーです。

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4) Oh! Darling / Huey Lewis (from "Come Together: America Salutes The Beatles"1995)
これもまた超有名曲ですが、この「アメリカのカントリー・シンガーたちによるビートルズ・カヴァー集」の中に入っているヒューイ・ルイス(日本のポップス・ファンにとってはロック・シンガーの印象が強いですが、確かにカントリー的な傾向の強いシンガーです)のカヴァーを推します。何の小細工もないストレートな歌唱で、大陸的なノリがオールド・スタイルのロッカ・バラードというこの曲の本質を見事に描き出しています。なんとも土臭い感じが最高。そしてヒューイのシャウトはやっぱりぐっときます。

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5) Octpus's Garden / Samuel E. Wright (from original soundtrack "The Little Mermaid II: Return To The Sea"2000)
これもまともにカヴァーしたのでは全く面白みの伝わらない曲です。リンゴのとぼけた味をさらに増幅させるカヴァーはこれしかありません。ディズニー映画「リトル・マーメイド2」のサントラより、カニのセバスチャン(声:サミュエル・E・ライト)が歌うカヴァー・ヴァージョン。もちろんジャマイカ英語です。カニに歌われたのではもうどうしようもないでしょう。楽しいことこの上なし、最強のカヴァーです。

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6) I Want You (She's So Heavy) / Alvin Lee (from"Nineteen Ninety Four"1993)
ブッカー・T & MG’s による、イントロで思わず「く~っ」と唸りたくなるブルージーなインスト・カヴァーも素晴らしいのですが、ここは元テン・イヤーズ・アフターの早弾きギタリストのソロでいってみましょう。10分近い長尺のトラック、後半は弾きまくりのギター・ソロが圧巻で、スライド・ギターでジョージが参加しているところもポイントが高い。分厚い音の壁がぐるぐる回る感覚が、原曲をさらにパワーアップさせたようで名演。

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7) Here Comes The Sun / George Benson (from"The Other Side Of The Abbey Road"1969)
名曲ぞろいの「アビー・ロード」のカヴァー選びは難行苦行です。この曲の数ある名カヴァーの中から、たった1曲選ばなくてはいけないなんて…。このジョージ・ベンソンの「アビー・ロード」カヴァー・アルバムから選んだのは、A面最後の「I Want You」が終わって、レコードをひっくり返して流れてくるときに一番ホッとするのはこんな音なのではないか…という、コンピレーションとしての流れで考えたからです。ギターではなく、柔らかくあたたかいピアノとストリングスで包み込んでくれるようなアレンジがいい。最後まで残っていたもうひとつの候補は、ニーナ・シモンによるやはりピアノ主体の素晴らしいカヴァー(「Here Comes The Sun」収録)。カヴァーとしての完成度はこちらの方が上かもしれません。これは本当に決め難い!

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8) Because / Elliot Smith (from original soundtrack "American Beauty"1999)
ビートルズ・カヴァーの世界の深遠さに気付き、ビートルズのカヴァーを全部違う人で集めてみようかな…と私が思ったきっかけは、このエリオット・スミスのカヴァーを聴いたことでした。映画の中での使われ方も印象的でしたが、原曲ではジョン、ポール、ジョージが歌っている三声のハーモニーを、たったひとりで多重録音したこのカヴァーは、宝石のような輝きを放っています。たとえ、その後のエリオット・スミスの悲劇を知らなくても、この悲しく美しいサウンドに心が動かされない人はいないでしょう。そしてそれは何よりも、原曲の美しさでもあるのです。必聴。

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9) You Never Give Me Your Money / Sarah Vaughan (from"Songs Of The Beatles"1981)
このアルバム後半のメドレーの気持ちの良い「流れ」を崩さないことは、カヴァー・コンピレーションを作る上でも気をつけたいところです。そこでサラ・ヴォーンの登場。TOTOのメンバーをはじめとする西海岸のクロスオーヴァーのミュージシャンをバックに、サラが気持ち良くビートルズ・ナンバーを歌い上げるこのアルバムは、実は私のお気に入りの1枚でもあります(ゴリゴリのジャズ・ファンには嫌われそうですが)。1曲1曲のアレンジがかなり斬新で、これはマーティー&デヴィッド・ペイチ父子のお仕事。立派です。この曲も中間部でリラックスした4ビートになるところがとても洒落ています。

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10) Sun King / noon (from"Apple of her eye りんごの子守唄"2005)
気持ち良い流れを受けて始まるのが、大阪出身のジャズ・シンガー noon による、さらに心地よいカヴァー。管楽器とオルガンをフィーチュアしたいかにも鈴木惣一朗的なバックに、noon のけだるいヴォーカルがたゆたう、南国の午睡のようなトラックです。とくに後半のスペイン語の部分は完全にシエスタ・モード。

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11) Mean Mr. Mustard / The Receiver (from"It Was 40 Years Ago Today: A Tribute To The Beatles"2004)
「Polythene Pam」のイントロで始まるので一瞬ギョッとしますが、始まるのは「Mean Mr. Mustard」。その後も「Polythene Pam」のイントロ・フレーズを織り交ぜながらがむしゃらに突き進む、轟音ギターによる素晴らしいオルタナ・カヴァー。このバンドについては全然知りませんが、フー・ファイターズの感じにも似ていて、気持ちいい。メドレーのターニング・ポイントを見事に作り出しています。

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12) Polythene Pam / Roy Wood (from original soundtrack "All This And World War II"1976)
続くのは元ムーヴ、ELOの奇才ロイ・ウッドによるカヴァー。イントロからしてセカンド・ライン・ファンクでぶっ飛んでいますが、最後の方のギターとオケによるプログレ的からみもわけわからず凄い。どうしたらこんなのを思いつくのかよくわからない、変態なアレンジです。

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13) She Came In Through The Bathroom Window / The Youngbloods (from"High On A Ridge Top"1972)
この曲のカヴァーといえば有名なのはやっぱりジョー・コッカーですが、ジョー・コッカーは「With A Little Help From My Friends」で既出なので残念ながらここでは出せません。でも素晴らしい演奏なのでぜひお聴きください。その代わりにご紹介するのが、アメリカのフォーク・ロック・バンド、ヤングブラッズのカヴァーです。後期にはサイケデリックな演奏も繰り広げた彼らですが、このラスト・アルバムに収められたカヴァーは4ビートの軽快なジャズ的演奏。カントリーの要素もあり、飄々としています。

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14) Golden Slumbers / Ben Folds (from original soundtrack "I Am Sam"2001)

メドレー後半の冒頭を飾る名曲は、「アイ・アム・サム」のサントラに収められたベン・フォールズのカヴァーが素晴らしい出来です。ピアノの弾き語りに始まってサビで盛り上がるちょっと大げさな曲調が、ベン・フォールズの芸風に見事にはまっていると思うのですが、いかがでしょうか。

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15) Carry That Weight / Noah And The Whale (from"Abbey Road Now!"2010)
前述した Mojo の今年のビートルズ特集付録CDからの拾いものがこれ。メドレーの「つなぎ」的な位置づけの曲でありながら、どこか終焉を予感させるはかなさもあり、選曲はなかなか難しいところです。カーメン・マクラエのヴァージョンが素晴らしい出来なのですが、既出の人なのでここでは選ぶことができません。困っていたところに現れたのが、このイギリスのインディー・フォーク・バンドの幻想的な短いカヴァーです。メドレーの流れを壊さないようにリンクさせながらも、オリジナルとは全く違った響きを作り出している、得難いカヴァーでした。

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16) The End / London Symphony Orchestra (from original soundtrack "All This And World War II"1976)
ついにメドレーも最後までたどり着きました。ここまで来たら大きな花火を打ち上げてもいいのでは…ということで大袈裟なこのカヴァーを。もともとジョージ・マーティンはこの曲においてシンフォニックな表現をしたかったらしいので、オーケストラによるこのド派手な演奏も流れにはまります。原曲よりも少し長いドラム・ソロが聴けるフィル・コリンズのヴァージョン(ジョージ・マーティンの「In My Life」に収録)も捨てがたいですが、フィルは「Tomorrow Never Knows」で既出なので断念。

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17) Her Majesty / Tok Tok Tok (from"50 Ways To Leave Your Lover"1999)
ビートルズ・ファンのお楽しみ。このおまけトラックにもカヴァーがあるというのは素晴らしいことです。ドイツのアコースティック・ソウル・デュオ、Tok Tok Tok のメジャー・デビュー盤より。ここではダブルベースのみをバックに歌っていますが、最後が「ブチッ」と切れるところまで見事に真似してあってニヤリとします。

世間は「赤盤」「青盤」リマスターで再びビートルズの周辺が賑やかになってきており、喜ばしいことです。私は3歳ぐらいから「赤」と「青」を子守唄代わりにして育ってきました…。次回は「Let It Be」。

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Covered Beatles (13) Yellow Submarine 編

ビートルズのオリジナル曲を、全曲違う人のカヴァーで探し続ける Covered Beatles。ついに問題作「Yellow Submarine」に到達です。なんで問題作かといえば、このアルバム(実際には映画「イエロー・サブマリン」のサントラ)はビートルズの曲が半分(LPで言えばA面)だけ、6曲しか入っていないからです。しかもそのうち2曲は既発曲、残りの曲も今の感覚でいえば限りなくアウトテイクに近いものです。そのため、「ビートルズのアルバムで最後に買うのはこれ」というありがたくない評判まで生まれてしまいました。しかし、アウトテイクすれすれといえども、そこはやはりビートルズ。いずれも名曲であることにいささかの疑いもありません。そして既発の2曲についても、以前紹介したのとは別のカヴァー・ヴァージョンをご紹介しましょう。

Revolution






1) Yellow Submarine / Cathy Barberian (from "Revolution" 1967)
「リヴォルヴァー」のときには迷いなく金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭」を選びましたが、もうひとつ選ぶとすればこれでしょう。意表をついたオープニング・トラック。一時期ルチアーノ・ベリオの妻でもあり、比類なきヴォーカル・パフォーマンスによって現代音楽界に大きな足跡を残したキャシー・バーベリアンのビートルズ・カヴァー集からの選曲です。疑似古典派風の伴奏でオペラティックに歌う異色のカヴァーは、現代音楽ファンの楽しみにしておくのは勿体ない面白さです。「リヴォルヴァー」のパロディであるオリジナル・スリーヴもポイント。2004年にはインタビューやライヴ音源を追加、「Beatles Arias」としてCD化されています。

Seul_en_vie






2) Only A Northern Song / Michel Drucker Experience (from "Seul En Vie" 2006)
2曲目はハードなタッチで。フランスのロック・シンガー、ミシェル・ドラッカーのカヴァーです。オリジナルはジョージのちょっと中途半端なサイケ曲ですが、このヴァージョンのようにアコギでジャカジャカ始めると、やたらかっこいい曲に聴こえてくるから不思議です。もうひとつ面白いと思ったカヴァーは Yonder Mountain String Band のライヴ音源(ネットでのみ販売)。コンピレーションの流れとしてはよくなかったので選びませんでしたが、完全にカントリー・タッチに変貌した異色のヴァージョンです。

Korlassa_krokridandi






3) All Together Now / Kolrassa Krókríđandi (from "Köld Eru Kvennaráđ" 1996)
アイスランドの有名ガールズ・バンド、コルラッサ・クロークリザンディ(英語でのバンド名はBellatrix)の4枚目のアルバムより。お子様ソング、あるいは牧歌的解釈に陥りがちなこの曲を、パンキッシュでもある強烈なロックに仕立て上げるところ、並みの感性ではありません。もう解散してしまいましたが、凄いバンドでした。オリジナル通り、最後のテンポアップもアドレナリン出まくり。

Criminal_tango






4) Hey Bulldog / Manfred Mann's Earth Band (from "Criminal Tango" 1986)
1960年代から活躍するあのマンフレッド・マンが、バンド遍歴の果てに辿りついた、マンフレッド・マンズ・アース・バンドの80年代のアルバムから選曲。このヴァージョンのタイトルは「Bulldog」となっていますが、もちろん「Hey Bulldog」のカヴァーです。いかにも80年代的なシンセ音ですが、そこがまた面白い。これまた異色のカヴァー。

L






5) It's All Too Much / Steve Hillage (from "L" 1976)
ゴングのギタリストとしても有名なスティーヴ・ヒレッジのセカンド・ソロ・アルバムから。プロデュースはトッド・ラングレンで、このジョージの名曲を選んだあたりにもトッドのセンスが感じられる。基本的には完コピで進むところがいかにもトッドらしいが、曲が終りまできていきなりブレイク、スティーヴのギター・ソロが延々と始まるところがポイント。これがまた凄くかっこいい。

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6) All You Need Is Love / 羊毛とおはな (from "Live in Living '09" 2009)
ラストは再び既発曲。「マジカル・ミステリー・ツアー」ではリンデン・デヴィッド・ホールの名カヴァーを選びましたが、ここでは日本が誇るアコースティック・デュオ、羊毛とおはなのヴァージョンをどうぞ。CMでも使われていましたが、千葉はなの甘い声と、羊毛くんのシンプルなギターの取り合わせがいい感じです。まず書店「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライヴ・ヴァージョンが出た(「ヴィレンジ・ヴァンガード」限定発売)のですが、その後にこのスタジオ録音もリリースされました。ほんわかした心温まるカヴァー。

というわけで「イエロー・サブマリン」はあっという間に終わってしまうのです。さて、「パスト・マスターズ」を入れてもあと3枚。乞うご期待。

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Covered Beatles (12) The Beatles [Disc 2] 編

さて、引き続き「ホワイト・アルバム」、2枚目です。

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1) Birthday / Cavedoll (from "Map One" 2008)
アメリカのインディー・バンド、ケイヴドールは実質的には Camden Ray Chamberlain という人のソロ・プロジェクトです。ジャンルとしてはエレクトロ・デジ・ロックという感じでしょうか。打ち込みをベースにしながらも、ロック的な躍動感を曲に吹き込むことに成功しています。僕はこのヴァージョンを itunes で知ったのですが、このある意味非常に単純な曲が、実に現代的なサウンドに生まれ変わっていることに驚きました。メタリックなギター音が魅力的。「C面」オープニングにふさわしい快作。

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2) Yer Blues / 椎名林檎 (from "唄ひ手冥利 ~其ノ壱~" 2002)
初めて聴いたときからこのカヴァーには強く惹かれるものがありました。曲も彼女向きだと思いますが、何といってもバックの「虐待グリコゲン」の演奏が圧倒的。ノイジーで暴力的、うねるようなグルーヴを生み出しています。それでいてちゃんと、ドリーミーなパートも入れてメリハリをつけ、ひねりを効かせている。完璧です。産休明けの椎名林檎が発表した2枚組のカヴァー・アルバムのうち、亀田誠治がプロデュースした「亀パクトディスク」の方に収録。

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3) Mother Nature's Son / Sheryl Crow (from soundtrack "I Am Sam" 2001)
何度か登場していますが、ビートルズ・カヴァー盛りだくさんのサントラ「アイ・アム・サム」より、シェリル・クロウのカヴァー。バンジョーやフィドルも入ったカントリー・タッチの解釈が、ハスキーなシェリルの声にマッチしています。この曲のカヴァーで僕がもうひとつ好きなのは、ニルソンのヴァージョン(名盤「ハリー・ニルソンの肖像」収録)。これも全くてらいのない解釈ですが、ニルソンの声の素晴らしさがよくわかる名カヴァーだと思います。

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4) Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey / My Brightest Diamond (from "The White Album Recovered No. 0000002" 2008)

森高千里によるカヴァー(1994年リリースの「Step By Step」に収録)も悪くないのですが、音楽としての面白さという点でこちらのヴァージョンを選びました。雑誌「Mojo」の付録CD(インディーズ・アーティストたちによるホワイト・アルバム全曲カヴァー)に収められた、マイ・ブライテスト・ダイアモンドによるカヴァー。マイ・ブライテスト・ダイアモンドはシャラ・ウォルデンによるソロ・プロジェクトです。この無意味にノリノリのロックンロールを脱構築した知的な解釈で、エンディングにジョージ・マイケルの「Monkey」を持ってきたところがポイント。この他には、前にも挙げましたが、ファッツ・ドミノのヴァージョンも楽しいと思います。

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5) Sexy Sadie / Paul Weller (from single "Out of The Sinking" 1994)

ポール・ウェラーによるビートルズ・カヴァーは、どれも本当に「愛がある」と感じます。ちょっとひねった選曲もいいし、何よりも演奏に熱いハートがある。もちろん、ウェラーのヴォーカルの魅力も大きい。ということで、このマキシ・シングルに収められたカヴァーも必聴の出来です。ウェラーには「ドント・レット・ミー・ダウン」のカヴァーもあり、これまた秀逸。

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6) Helter Skelter / Mötley Crüe (from "Shout At The Devil" 1983)
この曲は大物アーティストによる有名なカヴァーが結構あります。エアロスミス(ほとんどコピー)、スージー&ザ・バンシーズ(呪術的で強烈)、パット・ベネター(典型的なアメリカン・ロックだが内容は充実)、U2(ライヴ、やや独自路線)、オアシス(意外性がなくていまいち)等々。しかしここでは、この曲が「ヘヴィー・メタルの元祖」と呼ばれることも意識して、80年代LAメタルのスター、モトリー・クルーによるカヴァーを選びましょう。ヘヴィーだけれど実にキャッチーでグラマラス。ヴィンス・ニールのハイ・トーン・ヴォーカルはアピール度抜群だし、トミー・リーの安定したドラムがサウンドの要になっています。LAメタルからビートルズへの返答。

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7) Long Long Long / Tanya Donelly (from "This Hungry Life" 2006)
スローイング・ミュージズ、ブリーダーズ、ベリーで活躍してきたタニヤ・ドネリーのソロ・ライヴ・アルバムより。ジョーン・ワッサーのヴァイオリンを大きくフィーチュアしたアレンジが新鮮で、ジョージらしい詩情に満ちたこの曲の魅力を改めて感じさせてくれます。そしてやっぱり、タニヤの声が素敵。ところで、エリオット・スミスによるカヴァー(ライヴ)がブートで出ているらしいです。聴いてみたいなぁ。

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8) Revolution 1 / Outlandish (from outtake of "Sound of A Rebel" 2009)

「レヴォリューション」のカヴァーではなく、「レヴォリューション1」のカヴァーを探し出さなくてはいけないという点で、Covered Beatles 企画としては予想もしなかった困難に直面しました。いやー大変だった。一度は Neil Cowley Trio のジャズ・カヴァーを選曲してみたのですが、やっぱり違うかなぁ・・・という思いが抜け切れず、さらなる探索を続けました。そして発見。これですね。これ以上の選曲はありません。デンマークのヒップ・ホップ・トリオ、アウトランディッシュによるカヴァー。移民としてモロッコ、パキスタン、カリブのルーツを持ち、政治的・社会的メッセージを忘れない彼らの「レヴォリューション1」はリスナーの心にずっしりと響きます。ところでこのトラック、ネット上には出回っていますが、公式にはリリースされていないアウトテイクなんですね。まあ、ライヴではやっているし、そのうち出るでしょう。

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9) Honey Pie / Tuck & Patti (from "Love Warriors" 1989)
ギターのタック・アンドレスと、ヴォーカルのパティ・キャスカートのおしどり夫婦デュオ、タック&パティのセカンド・アルバムに収められたカヴァー。彼らは他にも「アイ・ウィル」や「イン・マイ・ライフ」をカヴァーしていますが、いずれもこのデュオならではのウォームな感覚と洗練されたジャズ・テイストを併せ持った名ヴァージョンです。ジャズ・ギターと声だけの、シンプルだけれど完成度の高いヴァージョン。

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10) Savoy Truffle / The Dons (from "It Was 40 Years Ago Today: A Tribute To The Beatles" 2004)
カナダのインディーズ・レーベルによるトリビュート盤からの選曲。この The Dons というバンドについて僕はほとんど何も知りません。ただ、ブラス・セクションが大活躍する原曲を完全にラウドなギター・ロックにしてしまったロック魂を買います。実にパワフルな炸裂する「サヴォイ・トラッフル」です。ジョージのトリビュート盤に入っていたゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツのカヴァーがいまいちだったのは残念。あと、エラ・フィッツジェラルドのヴァージョンはソウル感に溢れていて秀逸。

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11) Cry Baby Cry / Julie Ritter (from "Songs of Love and Empire" 1999)
この曲のカヴァー・ヴァージョンとしてはフールズ・ガーデンのものが有名ですが、僕にはやや凡庸に聴こえます。むしろLAのオルタナティヴ・バンド、メアリーズ・ダニッシュのヴォーカルだったジュリー・リッターのヴァージョンの方が完成度が高いのではないでしょうか。ジョンならではのけだるい感覚を女声におきかえつつ、現代的なサウンド・プロダクションでまた少し違う世界を開いている感じがします。ソロ・デビュー・アルバムに収録。

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12) Revolution 9 / The Shazam (from "Rev 9" 2000)
「レヴォリューション9」をカヴァーする、ということはいったいどういうことなんでしょうか。ご存じの通り、原曲はジョン・レノンとヨーコ・オノによるサウンド・コラージュです。普通は「カヴァー」はあり得ないでしょう。しかしながら、「レヴォリューション9」のカヴァーは意外とあるんです。いくつかご紹介。
・Phish (from "Live Phish 13")人気ジャム・バンドによるホワイト・アルバム全曲カヴァーのライヴ盤。演奏は、ライヴという場での「遊び」のようなもの。
・Grunt (from "Fried Glass Onions Vol.3: Memphis Rocks The Beatles")メンフィス系のアーティストによるビートルズ・トリビュート盤に収録。打ち込み系のリズムをバックに様々な演奏の断片をコラージュしたもの。
・Neil Cowley Trio (from "The White Album Recovered No. 0000002")前述の雑誌「Mojo」付録CDに収録されているピアノ・トリオ・ヴァージョン。ちょっとだけアヴァンギャルドなピアノ・トリオといった感じ。
・Fabio KoRyu Calablo (from "Albume Bianco") イタリアのウクレレおじさんによるホワイト・アルバム全曲トリビュート盤より。ウクレレを逆回転したりしている。
・Ian Cussik, Heiko Effertz & Mdax Cohen (from "Wish We Were The Beatles: A Tribute To White Album")ネット上でのみ販売されている、完コピ系プロジェクトによる演奏。完コピ系だけにこの曲も比較的「忠実」な感じだが、なぜか少しだけ違う。
もはや何でもあり、という状況ですが、それでも音楽としての良し悪しというのはきちんと存在します。そこで僕が選ぶのは、ナッシュヴィルのバンド、 The Shazam によるカヴァー。プロデュースはブラッド・ジョーンズです。さて、この音楽を何と表現したら良いのか?ビートルズの「レヴォリューション9」を下敷きにしながら、そこからインスパイアされたバンドの演奏を非連続的に編集、ひとつの流れを作り出している、という感じ。あとは聴いてもらうしかないです。お聴き頂ければ、ちゃんと「カヴァー」になっていることがご理解頂けることでしょう。

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13) Good Night / 細野晴臣 (from "Apple of his eye りんごの子守唄" 2006)
この大作を見事に締めくくる名作を誰のカヴァーで聴くか?考えた末に、女声にするか男声にするかという二者択一に至りました。女声なら文句なくリンダ・ロンシュタット。1996年にリリースしたララバイ集「愛の贈りもの(Dedicated To The One I Love)」に収められているカヴァーで、原曲同様にオーケストラがバック、聴き手をふんわりと包み込むような感覚があります。そして男声ならこの細野晴臣。こちらはピアノと弦楽器のアンサンブルによる親密なバックで(ビューティフルハミングバードの小池光子によるコーラス入り)、ハリーらしい大人の優しさに溢れています。前者がまさに赤ちゃんに向けて歌うときの愛情に満ちているのに対し、後者は大人の心の中に眠るノスタルジーにそっと触れてきます。熟考の末、ここでは後者に軍配を上げました。よく眠れそうです。

だんだんゴールが見えてきました。しかし次回は最大の問題作「イエロー・サブマリン」。

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Covered Beatles (11) The Beatles [Disc 1] 編

不定期更新でお届けしている Covered Beatles 、ついに2枚組の大作「The Beatles」(通称「ホワイト・アルバム」)に突入です。余談ですが、昔はダブル・アルバムというのは結構な「大作」でした。今はCDを一度交換するだけですが(いや、ひょっとしたら楽曲ダウンロードで、CD交換すらなく全曲通しで聴けてしまうかもしれない)、昔はA面聴いて、ひっくりかえしてB面聴いて、レコード取り替えてC面聴いて、またひっくりかえしてD面聴く・・・という聴き手の「作業」が必要だったわけです。必然的に、それぞれの面ごとの統一的な印象のようなものが(作り手の意図があるかどうかにかかわらず)作り出されていました。CD時代になってからは、こういうA面、B面・・・という感覚は希薄になっています。しかし、レコード時代の音楽家は必ずこの感覚を持ってアルバムを制作していたわけで、それを念頭に置くと、当時のアルバムの意味合いがよりよく理解できると思われます。閑話休題。

Witchtaito






1) Back In The U.S.S.R. / John Schroeder (from "Witch-Tai-To" 1971)
オープニング・トラックは、イギリス出身のアレンジャー&プロデューサーとして知られるジョン・シュローダーによるリラックスしたカヴァーで。ポップス・オーケストラによるラウンジ感溢れるアレンジが秀逸です。この人、クラブ時代になってから再注目されているようですが、さもありなん。グル―ヴィーです。

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2) Dear Prudence / Siouxsie & The Banshees (from "Hyaena" 1984)

これは有名なカヴァー。イギリスのパンク/ニューウェイヴ・バンドのスージー&ザ・バンシーズによるヴァージョンです。けだるいスージーの歌、キュアーにも通じるキラキラした透明なギターの響き、そして音楽がぐるぐる回る酩酊感(look around round round…)が印象的。スージー&ザ・バンシーズはファースト・アルバムでも「ヘルター・スケルター」をカヴァーしていて、こちらも必聴です。

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3) Glass Onion / Alif Mardin (from "Glass Onion" 1969)
惜しくも2006年にこの世を去ったアトランティック・レコードの名プロデューサー、アリフ・マーディンの同名ソロ・アルバムから。インストですが、さすがにソウル感たっぷりで楽しめます。それにしても、なぜこの曲だったのでしょうか?

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4) Ob-La-Di, Ob-La-Da / The Bedrocks (from 7"single "Ob-La-Di, Ob-La-Da / Lucy" 1968)

有名な曲だけにカヴァーも多く、日本では車のCMで使われたユッスー・ンドゥールのヴァージョンなどがよく知られたものでしょうか。しかし、オリジナル発表後にすぐさま現れたこの「先祖帰り」ヴァージョンに勝てるものはなかなかありません。ザ・ベッドロックスは、西インド諸島出身のメンバーによってイギリスで結成されたバンド。スカのリズムを使ったこの曲を、スカの本場からの移民がカヴァーして大ヒットとなりました(Columbia DB 8516)。「もともとスカなんだからスカにしました(ついでに英語もジャマイカ風に)」という、ある意味すごくナチュラルな、この曲のカヴァーヴァージョンの原点。

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5) Wild Honey Pie / Pixies (from "Pixies at the BBC"
1998)
「ワイルド・ハニー・パイ」のカヴァー・ヴァージョンなんてないだろうと思いきや、あるんだなこれが。しかもグランジのオリジネイター、ピクシーズだ!フランク・ブラックはどうしてもこの曲がやりたかったんでしょう、BBCのジョン・ピールの番組に最初に出演した時(1988年5月3日、放送は16日)にぶちかましています。凄いです。

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6) The Continuing Story of Bungalow Bill / Young Blood (from 7"single "The Continuing Story of Bungalow Bill / I Will" 1969)
ハード・ロック界の名ドラマー、故コージー・パウエルが参加していたことで知られる英国バーミンガムのバンド、ヤング・ブラッドのカヴァー。例によってオリジナル・シングル(Pye 7N 17696)のジャケ写が見当たらなかったため、収録されているコンピレーション「All You Need Is Covers」のジャケットを掲載しておきます。ブルース・ロックとアート・ロックの中間のようなサウンドですが、やたらドラムだけが叩きまくってオリジナリティを主張しています。コージー恐るべし。

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7) While My Guitar Gently Weeps / The Jeff Healey Band (from "Hell To Pay" 1990)
2008年に惜しくもガンのために亡くなった盲目のギタリスト、ジェフ・ヒーリーによるカヴァー(なんだか今回は最近亡くなっている人が多いですね)。膝の上にギターを置き、上から弦を押さえるというラップ・スティールのような独特の奏法(しかも時々立ち上がったりする)で知られていますが、素晴らしいブルーズ・ギターです。このレコーディングにはジョージ本人も参加していますが、オリジナルを完全に食ってしまう熱演にジョージも満足したことでしょう。

Pod







8) Hapapiness Is A Warm Gun / The Breeders (from "Pod" 1990)

ピクシーズのキム・ディールとスローイング・ミュージズのタニヤ・ドネリーのプロジェクト、ザ・ブリーダーズのファースト・アルバムに収められたカヴァー。しかもプロデュースはスティーヴ・アルビニ!マッチを擦るSEで始まるトラックは、暴力性、猥雑さ、焦燥感、そして刹那的な感情も入っていて白眉。フィードバックで終わるエンディングもいい感じです。なお、元ちとせもこの曲をカヴァーしていますが(マキシ・シングル「語り継ぐこと」に収録)、期待したほどの出来ではありませんでした。ちょっとキレイすぎるんだなー。

Declassified








9) Martha My Dear / Groove Collective (from "Declassified" 1999)

B面トップは、クラブ・ジャズということになるのでしょうか、ニューヨークのグルーヴ・コレクティヴによる異色のカヴァー。これは一聴の価値がある画期的な解釈だと思います。とにかくリズムが気持ちいい。ポールはきっとこういうカヴァーは大好きでしょう。ところで以前、マイク・ヴァイオラのライヴを観に行ったとき、彼がアンコールでこの曲のイントロを弾いていたことを思い出しました。やるのかと思ったらやらなかったけれど・・・。

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10) I'm So Tired / Chris Duarte (from "The Blues White Album" 2002)
ジョンのけだるい曲は、さらにけだるいハチロク(6/8拍子)のブルーズ・カヴァーで聴きましょう。クリス・デュアーテはジョージア州アトランタのブルーズ・ギタリスト。いかにもサザン・ブルーズな感じが最高です。しかも原曲にはない素晴らしいギター・ソロまで入っています。これがまた美味しい。

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11) Blackbird / Billy Preston (from "Music Is My Life" 1972)
「ゲット・バック」や「ドント・レット・ミー・ダウン」のセッションに参加して「5人目のビートルズ」と呼ばれたキーボード・プレイヤー、ビリー・プレストンのアルバムより。原曲のアコースティックなイメージを完全に覆す、ハモンド・オルガンによるオープニングと躍動感あふれるファンキーな展開は、「この曲に黒人差別反対のメッセージを込めた」というポールの意図を十分に汲んでいます。独創的なアレンジが素晴らしい。

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12) Piggies (Maialini) / Fabio KoRyu Calabrò (from "Albume Bianco" 2000)
これをキワモノ扱いするかどうかずいぶん考えたのですが、面白いから選んでしまいました。イタリアはボローニャ出身のファビオ・カラブロ。ホワイト・アルバム全曲をウクレレ弾き語り(もちろんイタリア語)でカヴァーするという、とんでもないアルバムを出しています。名付けて「アルブメ・ビアンコ」(笑)。しかし、これがとてもよく出来ているんですね。この「ピギーズ」もウクレレ一本の弾き語り、豚の鳴き声の真似も入ったりして、抱腹絶倒の面白さです。なおファビオはこのあと「Sgt. Pepper's」のまるごとカヴァー・アルバムも2007年に出しています。タイトルは「Sergio Pepe e L'Orchestrina Cuori Solitari」(訳はご想像ください)。

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13) Rocky Racoon / Andy Fairweather Low (from "Be Bop 'N' Holla" 1976)
1960年代後半のイギリスのバンド、エイメン・コーナーのフロントマンとして知られるアンディー・フェアウェザー・ロウのソロ・アルバムより。日本では1991年のクラプトンとジョージの来日公演に参加してギターを弾いていた人、と書いた方が通りがよいかもしれません。フィンガー・ピッキングによる温かみのある音色がこの人の特徴ですが、このカヴァーでも素晴らしいフィンガー・ピッキングが聴けます。ちょっとしゃがれた味のあるヴォーカルも素敵。

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14) Don't Pass Me By / The Georgia Satellites (from "Shaken Not Stirred" 1997)
このリンゴの趣味的なカントリー&ウエスタン・ナンバーを、あろうことかノリノリのロックン・ロール・ナンバーに仕立て上げてしまったのがジョージア・サテライツ。MTV全盛の80年代にいきなり登場、泥臭いサザン・ロックで一世を風靡しました。この曲の激変ぶりには驚くほかありませんが、本当にカッコいいカヴァーです。

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15) Why Don't We Do It In The Road? / Lowell Fulson (from "In A Heavy Bag" 1970)
テキサス出身のブルーズ・マン、ローウェル・フルソンによる、これまた滅茶苦茶カッコいいミディアム・テンポのカヴァー。ジャケットからもわかるように、このアルバムは当時のサイケデリック・ムーヴメントを意識したサウンドになっていて、コアなブルーズ・ファンからはあまり高く評価されていません。しかしこのアルバムでフルソンを知ったロック・ファンには、とても魅力的なアルバムに思えるのです。「ホワイト・アルバム」ではポールのお遊びのように見えた「埋め草」的な曲が、ヒリヒリするブルーズに大変身。

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16) I Will / 原田郁子 (from "Apple of her eye りんごの子守唄" 2005)
名曲だけに誰のカヴァーを選ぶか悩みどころですが、個人的に大好きな原田郁子の声でこの曲を聴きたい、ということでこのヴァージョンを選曲します。ウーリッツァーのエレピとフルートをフィーチュアした、鈴木惣一郎バンドのほんわかサポートを得て、イクコちゃんの声がさらに魅力的に聴こえます。

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17) Julia / イノトモ (from "Apple of her eye りんごの子守唄" 2005)

同じアルバムが続いて恐縮ですが、本当にこれはいいアルバムなんです。未聴の方はぜひお試しを。ということで「ホワイト・アルバム」1枚目のシメはイノトモ。もともとナチュラルなテイストが売りのシンガー・ソングライターですが、ここでもマイクにすごく近い感じの囁き声で、ジョンの名曲を歌ってくれます。癒されます。

次回は「ディスク2」。乞うご期待。

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Covered Beatles (10) Magical Mystery Tour 編

Covered Beatles も第10回を迎える運びになりました。ちらほらとコメントも頂いたりして、大変ありがとうございます。不定期更新で申し訳ありませんが、コンプリート目指してぼちぼち書いていきますので、ご贔屓のほど宜しくお願い致します。

今回は「Magical Mystery Tour」です。もともとEP2枚組として発売されましたが、米国での発売の際にアルバム未収録のシングル曲5曲を加えたLPとなり、そのフォーマットがCD化に至るまで定着しています。今回もその曲順で選曲していきましょう。

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1) Magical Mystery Tour / BONNIE PINK (from "Water Me" 2007)
オープニング・トラックはこれで決まり。「英語でしゃべらナイト」のテーマ・ソングにもなっていましたが、ボニー・ピンクの2007年のマキシ・シングルに収録されているカヴァーです。ポップで賑やかなサウンド・メイキングは、洋楽アーティストたちに負けないオリジナリティとクオリティの高さを誇ります。楽しい!

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2) Fool On The Hill / Sergio Mendes & Brasil '66 (from "Fool On The Hill" 1969)
「フール・オン・ザ・ヒル」のカヴァーと言えばイの一番に挙げられるのがこれ。ストリングスを導入したクールでアーバンな感覚に溢れるなサウンドは、ボサ・ノヴァという枠を超えて優秀なポップ・ミュージック(A&M流の)になっていると思います。このアルバム自体も名盤。

Golden_picnics






3) Flying / 四人囃子 (from "Golden Picnics" 1979)
こんな曲のカヴァーも、ちゃんとあります。日本を代表するプログレ・バンド、「都立家政のピンク・フロイド」(このネーミングもすごい)こと四人囃子のセカンド・アルバムからの選曲。まあ、四人囃子としては「遊び」程度の演奏ながら、ふわふわした幻想的な雰囲気はしっかりと出ています。

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4) Blue Jay Way / Tracy Bonham (from "In The City + In The Woods" 2006)
アメリカのシンガー・ソングライター、トレイシー・ボーナムのEPより。彼女は素晴らしいヴァイオリニストでもありますが、ここでも雰囲気たっぷりのインディアン・ヴァイオリン風の演奏を聴かせています。ジョージが書いたこの曲の神秘的な側面を強調した解釈です。まさに霧の中で彷徨っているような感覚。

Pye_jazz_anthology






5) Your Mother Sould Know / Kenny Ball and his Jazzmen (from 7"single "Oki San / Your Mother Should Know" 1972)
ポールの書くノスタルジックなオールド・スタイルの曲の多くは、アマチュアのジャズマンだった父の影響が強く出ているように感じられます。ということで、この選曲も思いっきり先祖帰り。イギリスのトラッド・ジャズの代表的なトランペッター、ケニー・ボールによるカヴァー。トラッド・ジャズはデキシーランド・ジャズをベースにしたイギリス風のジャズで、ポールのお父さんもこんな感じの演奏をしていたのでしょう。本来はシングル(Pye 7N 45196)のB面なのですが、どうしてもジャケ写が見つからなかったので、この曲が収められているアンソロジー盤「The Pye Jazz Anthology」を掲載しています。

Sideways






6) I Am The Warlus / Men Without Hats (from "Sideways" 1991)
みんな大好き「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。ハードなスプーキー・トゥースからオアシスのライヴ、ミュージカル映画「アクロス・ザ・ユニヴァース」でU2のボノが歌ったものまでいろんなカヴァーがありますが、コンピレーションとしての流れを考えると選びたいのはカナダのシンセ・ポップ・バンド、メン・ウィズアウト・ハッツのカヴァー。実質的ラスト・アルバムに収められたこのヴァージョンでは、ギターを大きくフィーチャー。イワン・ドロシャックの渋いヴォーカルに特徴があります。最後でテンポが倍になるところが耳を惹きつける。おしまいの一言もビートルズ・ファンをにやりとさせる仕掛け。

Angelus






7) Hello Goodbye / Milton Nascimento (from "Angelus" 1993)
B面のオープニングとしてこれはインパクトあるなあ。「ブラジルの声」、ミルトン・ナシメントによる「ハロー・グッバイ」です。ミルトンのファンであれば、あのファルセットの魅力を言葉で語ることの難しさを理解して頂けることでしょう。朝の光と祈りに満ちた、心が洗われるようなナチュラルな「ハロー・グッバイ」。こんなカヴァーもありです。

All_this_and_world_war_ii






8) Strawberry Fields Forever / Peter Gabriel (from soundtrack "All This and World War II" 1976)
みんな大好き「ストロベリー・フィールズ」。トッド・ラングレンの完コピからベン・ハーパーのエモーショナルなカヴァーまで、これまた色々なヴァージョンがありますが、ここで選んだのはピーター・ゲイブリエルのもの。オーケストラをバックにしていて、アレンジは意外とあっさりしているものの、あの声がこの曲を歌っているというだけで非常に満足感があります。クラシカルなバックトラックもこの曲に関しては悪くないでしょう。

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9) Penny Lane / Kenny Rankin (from "Silver Morning" 1974)
ソフト&メロウなAORで人気のケニー・ランキン、1974年のアルバムに収められたカヴァー。サビ以外はスキャットによる爽やかな歌唱で、弾むようなリズムもあって実に気持ちいい音楽に仕上がっています。オルガンのバッキングがまた気持ちいい。確かに朝の感じ。

Here






10) Baby You're Rich Man / Dean Brown (from "Here" 2001)
デヴィッド・サンボーンやマーカス・ミラー、ブレッカー・ブラザーズとの共演で長いキャリアのあるフュージョン系ギタリスト、ディーン・ブラウンの遅すぎたファースト・ソロ・アルバムより。売れっ子ミュージシャンである彼の人脈を反映して、非常に豪華な面子のレコーディングです。彼はロック的なギターも弾くのですが、ここではかなりジミ・ヘンドリックスを意識したプレイが聴けます。ヘヴィーでサイケな異色のトラック。

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11) All You Need Is Love / Lynden David Hall (from soundtrack "Love Actually" 2003)
アルバムを締めくくるトラック。ジョンが書いたこの曲にはゴスペル的な要素があるので、このリンデン・デヴィッド・ホールのカヴァーはまさにツボ。映画「ラヴ・アクチュアリー」のサントラの中の1曲で、感動的な仕上がりになっていると思います。「UKからディアンジェロへの回答」と呼ばれ、UKソウルの旗手として期待されたリンデン・デヴィッド・ホールは、2006年に癌によりわずか31歳の生涯を閉じています。この歌声を聴くと、その才能が失われたことが惜しまれてなりません。合掌。

次回はいよいよ大作「The Beatles」へ!

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Covered Beatles (9) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band 編

不定期更新の Covered Beatles です。ようやくロック音楽の金字塔「Sgt. Pepper's」にたどりつくことができました。このアルバムに関してはカヴァーがたくさんあるので、誰のどんなヴァージョンを選ぶか、かなり迷います。しかし、やはり方針は最初に決めた通り。代表的なカヴァー・ヴァージョンがある曲はできるだけそれを選びながら、通して聴くコンピレーションとしての流れが良いように。そしてもちろん、全部違う人のカヴァーで。

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1) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band / Bill Cosby (from "Sings Hooray for the Salvation Army Band!" 1968)
タイトル曲はやっぱりジミ・ヘンドリックスか?それともビージーズか?いやいやチープ・トリックもあるぞ・・・といろいろ考えられるのですが、僕のお気に入りはフィラデルフィア出身のコメディアン、ビル・コスビーのセカンド・アルバムに収められたカヴァー。ユーモアたっぷりの渋い歌いっぷりは、それっぽい女性コーラスも入って、とってもグルーヴィー。「ワシントン・ポスト」の一節が挿入されるのも、絶妙なセンス。

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2) With A Little Help From My Friends / Joe Cocker (from "With A Little Help From My Friends" 1969)
この曲のカヴァーは本当にいろいろあります。いい曲です。でも1曲だけ選ぶとすれば、やっぱりジョー・コッカーしかないでしょう。本当はジョー・コッカーには他にも選びたいビートルズ・カヴァーがたくさんあるのですが、1曲だけ選ぶとしたらこれ。1969年のデビュー・アルバムに収められています。リズム&ブルースの感覚をたっぷり取り入れた、あまりにも有名なカヴァーです。

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3) Lucy In The Sky With Diamonds / Elton John (from "Captain Fantastic and The Brown Dirt Cowboy" 1975)
このエルトン・ジョンのカヴァーも有名。ビートルズ・カヴァーとしては5本の指に入るものでしょう。原曲の幻想的な味わいはそのままに、エルトンらしい味付けを加えた素晴らしいトラックです。エルトンの声がこの曲にとても合っているんですね。最後にリズムがレゲエになるところもいいです。

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4) Getting Better / Gomez (from "Abandoned Shopping Trolley Hotline" 2000)
選び直しました!イギリスの人気インディー・バンド、ゴメスの未発表曲コンピレーションに収録。イギリス出身なのにアメリカ南部的なサウンドが売りのこのバンドらしい、ボトルネック・ギターによる印象的なバッキングと、対照的な個性を持つふたりのヴォーカリストによる歌。タイトでかっちりとした印象の原曲を、アーシーな味に仕上げています。これは面白い。

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5) Fixing A Hole / Marcelle Gauvin (from "The Edge of The Pond" 2002)
東海岸で活躍するジャズ・ヴォーカリスト、マルセル・ガウヴィンのアルバムより。この人は全然有名ではありませんが、この曲をジャズにしようという発想は凄い。それもベースとのデュオです。このベースが異様にかっこいい。ブリッジで速い4ビートになるところなどアイディアものです。ビートルズはジャズに合うなあ。

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6) She's Leaving Home / Syreeta (from "Syreeta" 1972)
ハリー・二ルソンにもいいカヴァーがありましたが、ここではスティーヴィー・ワンダーの奥さんだったシリータ・ライトのファースト・アルバムから。このクラシカルな佳曲を完全に「ソウル化」している非凡さを買いたいと思います。シリータの歌も良いですが、プロデューサーであるスティーヴィーの音楽ですね。スティーヴィーがヴォコーダーでコーラスを歌い始めると、もうスティーヴィーの曲にしか聴こえないし。ところで、シリータは2004年に亡くなっていたんですね。ご冥福をお祈りします。

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7) Being For The Benefit of Mr. Kite! / Billy Connolly (from George Martin "In My Life" 1998)
この曲のカヴァー選びは難しい。原曲の「作りこみ方」が尋常ではないので、どんなカヴァーも物真似の域を脱しない。ビートルズ・カヴァーではしばしば起こることですが、この曲の場合は特にその傾向があります。迷ったあげく、「5人目のビートルズ」というべきプロデューサー、ジョージ・マーティンのアルバムから選びました。イギリスのコメディアン、ビリー・コノリーを起用したこのカヴァーは、この曲の歌詞である「呼び込みのセリフ」をまさに「呼び込み」としていて、ヘタに「歌」にしようとしていない。それが、ジョンが描きたかったところのフェアグラウンド・アトラクションの風景を彷彿とさせて、この曲のカヴァーとしては私の聴いた限りでの唯一の成功例だと思います。サウンドの作りこみ方もビートルズに負けていない・・・ってプロデューサー本人のリメイクだから当たり前か。

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8) Within You Without You / Sonic Youth (from "Daydream Nation" 1988 [Deluxe Edition])
ソニック・ユースを代表する名盤の、デラックス・エディションに収録されたボーナス・トラックより。原曲のラーガ・サウンドをノイズ・ギターの洪水に置き換えた、グランジ流のトリップ・ミュージックに仕上がっています。でかい音で聴くと圧倒的迫力。サーストン・ムーア凄いです。

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9) When I'm 64 / John Pizzarelli (from "Meets The Beatles" 1998)
ポールも64歳を過ぎてしまいましたね・・・。キース・ムーンのカヴァーも悪くはなかったのですが、音楽的な完成度からするとこのジョン・ピザレリが好みです。もともとボードヴィルっぽい曲調なので、スタンダード・ナンバーのように扱ってナット・キング・コール風に歌うという戦略がはまっていると思います。間奏のギターやクラリネットのソロも小粋。

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10) Lovely Rita / Fats Domino (from "Fats Is Back" 1968)
ポールはファッツ・ドミノも大好きなのでしょう。この曲はもともとファッツ・ドミノのスタイルにちょっと似ているところがあるので、これは先祖帰りカヴァーといったところ。ビートルズにトリビュートされて、ファッツもご機嫌です。このアルバムには「Lady Madonna」のカヴァーも収められていますが、よく考えたらこの曲もファッツ・スタイルですね。あとファッツには「Everybody Got Something To Hide Except Me And My Monkey」のカヴァーがあって、これもとても良いです。

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11) Good Morning Good Morning / Frankenstein 3000 (from "America's Hit Remakers" 2005)
いろいろとカヴァーのしがいのありそうな曲に思えますが、これぞ!というヴァージョンがないな~と思っていて itunes で発見した1曲。目覚まし時計のSEで始まるアイディアもいいですが、こういうパンク的解釈が素直で楽しい曲です。トーストをかじるイギリスの朝というよりも、シリアルをかきこむアメリカの朝という感じですが。

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12) Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) / The Cast (from Original Soundtrack "Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" 1978)
ビージーズやピータ・フランプトンなど70年代のビッグ・アーティストが参加したミュージカル映画のサントラ(ジョージ・マーティン・プロデュース)。オール・キャストによるフィナーレのコーラスですが、選曲のポイントはいかにも70年代なディスコ・タッチになっているところ。キメのアレンジが決まってます。

Mojo






13) A Day In The Life / Captain (from "Mojo presents Sgt. Pepper ...With A Little Help His Friends" 2007)
この選曲が難関でした。このカラフルな大作をしめくくるカヴァー・ヴァージョンは、いったいどんなものがしっくりくるのでしょうか?ウェス・モンゴメリーの名カヴァーは大好きですが、この位置ではない。スティングのライヴもいいけど、ちょっと取ってつけたような感じがする。ジェフ・ベックのヴァージョンは確かに感動的、でもやっぱり「歌」がほしい・・・。最終的に選んだのが、音楽雑誌「Mojo」の付録盤に入っていたカヴァー。このバンドについては全然知りませんが、インディーズのギター・バンドなのでしょう。一夜のショーの余韻を受けるように始まる抒情的なイントロ、ネオ・アコっぽいハイ・トーンのヴォーカル、凄くいいです。これで決まり。

後期になってくるとカヴァーの質もどんどん高くなっていきます。次回は「Magical Mystery Tour」。

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Covered Beatles (8) Revolver 編

気まぐれな更新で申し訳ありません。Covered Beatles です。さて、やはり「黒箱」(ビートルズBOX:ステレオ・リマスター)の誘惑に勝てず、先日ついに購入してしまいました・・・。ここのところ毎日聴いていますが、やっぱりこの「左側が楽器、右側が歌」のステレオ・ミックスには非常に違和感があります。「ホワイト・アルバム」までのビートルズはモノで聴くのが正しい、と断言したい今日この頃です。ということで今回は「Revolver」。昔は「実験的」と言われることの多かったアルバムですが、90年代以降は「Sgt. Pepper's」よりも傑作と評価する声を多く聞くようになりました。人気があるだけにカヴァー・ヴァージョンも多く、選曲はかなり悩みましたが、こんなもんでいかがでしょうか?

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1) Taxman / Stevie Ray Vaughan and Double Trouble (from "Greatest Hits" 1995)

リトル・ジュニア・パーカー(ソウル感がたまらない)、パワー・ステーション(再結成時)のカヴァーも捨てがたいですが、コンピレーションのスターターとして、このステーヴィー・レイ・ヴォーンのハードなブルーズ・カヴァーを選びたいと思います。死後に出たベスト盤に収録された未発表曲で、ヴォーカルもギターも迫力満点。早過ぎた死が本当に惜しまれるブルーズマンでした。

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2) Eleanor Rigby / The Handsome Family with The Rivet Gang (from "Revolver Reloaded" 2006)

これは本当に迷いました。最初は「Ticket To Ride」で選べなかったヴァニラ・ファッジのヴァージョンにしようと考えていたのですが、並べてみるとさすがアート・ロック、コンピレーションとしての流れが最悪でした。リッチー・ヘヴンスやトニー・ベネットはインパクトがもうひとつ。アレサ・フランクリンやサラ・ヴォーンのヴァージョンは大好きなのですが、ふたりとも他の曲で選びたいので、ここでは我慢せざるを得ない。カンサスの笑っちゃうぐらい大袈裟でシンフォニックなカヴァーもありますが、いまひとつ。困っていたところで見つけたのがアル・クーパーの素晴らしいブルーズ・カヴァーで、これで決まりかと思いきや、今度はスティーヴィー・レイ・ヴォーンと2曲ブルーズ・スタイルが続くのがどうにも気になってしまいました。再び迷いに迷った挙句、「これしかない」ということになったのが、雑誌「MOJO」の付録CDだった「Revolver」全曲カヴァー・アルバム(なかなか良い)に収録されているこのカヴァーです。ブレット&レニーのスパークス夫婦によるハンサム・ファミリーと、カントリー・バンドのリヴェット・ギャングによる共演。バンジョーとペダル・スティールによるアメリカン・トラッドの響きに乗せて、マーダー・バラッド風に再構築しています。一聴の価値がある異色のカヴァーでしょう。

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3) I'm Only Sleeping / Suggs (from "The Lone Ranger" 1995)

個人的に大好きな曲ですが、これも選曲が難しい・・・。ヴァインズやステレオフォニックスのカヴァーは悪くないのですが、原曲の完成度があまりに高いため、アレンジがオリジナルをなぞることに終始してしまった嫌いがあります。そこでサッグス登場。マッドネスのフロント・マンとして活躍した彼の、1995年のソロ・デビュー・アルバムからの1曲です(この曲がソロ・デビュー・シングルでもあった)。スカのリズムに乗せた意外性のあるカヴァーは、トロンボーン・ソロもあってご機嫌です。

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4) Love You To / Ronnie Montrose (from "Territory" 1986)

モントローズのリーダーだったギタリスト、ロニー・モントローズによる1986年のソロ・アルバムの中の1曲。このあまり有名とも思えないジョージの曲をロニーがカヴァーしているというのが面白いところ。ラーガ・ロック風の原曲を、ロニー流でバリバリ弾きまくってスペイシーなハード・ロックにしています。

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5) Here, There And Everywhere / Emmylou Harris (from "Elite Hotel" 1975)

これまた名曲。山ほどカヴァー・ヴァージョンがある中から1曲を選び出すのはほとんど拷問に近い作業です。しかしここは有名なエミルー・ハリスのカヴァーでいいのではないでしょうか。この曲の場合、シンプルなアレンジの方がポールの書いた完璧なメロディーを引き立たせると思いますし、エミルーのアルトの声にはカントリーというジャンルを超えた魅力があります。

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6) イエローサブマリン音頭 / 金沢明子 (from 7"single "イエローサブマリン音頭 / 夢を飲まないか" 1982)

これかよ、と突っ込まれるのを承知で選びました。しかしながら、世界中探してもこれ以上にオリジナリティに溢れた「Yellow Submarine」のカヴァーは存在しないでしょう(SV-7270)。ポールが認めているのだからお墨付きとも言えます。金沢明子の伸びのある高音とコブシ回し、しっかりとした音頭のアレンジ、そしてバックのお遊びまで、何度聞いても完成度の高いカヴァーです。やっぱり大瀧詠一は凄い。アルバムとしては「大瀧詠一ソングブック2」で聴けます。

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7) She Said She Said / The Black Keys (from "The Big Come Up" 2002)

オハイオ州アクロン出身のブルーズ・ロック・デュオが、インディーズから出したファースト・アルバムより。現在はSME系列のエピタフ・レーベルからメジャー・デビューしている彼らですが、このデビュー盤からバリバリのブルーズ・ロックを展開しています。ジャリジャリとしたクリスピーなギター・サウンドがなんとも言えず快感で、中毒性のある音です。このカヴァーもかっこいいの一言。

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8) Good Day Sunshine / Claudine Longet (from "The Look of Love" 1967)

フレンチ・ロリータ・ポップの元祖、クロディーヌ・ロンジェによる秀逸なカヴァー。40年前の録音であるにもかかわらず、この声の可愛さはほとんど反則に近い。テューバ主体のバッキング・アレンジもお洒落です。余談ですが、クロディーヌ・ロンジェとカヒミ・カリィの関係は、シェリル・クロウとラヴ・サイケデリコとの関係とほぼイコールだと思います。

Extras






9) And Your Bird Can Sing / The Jam (from "Extras" 1992)

ザ・ジャムのB面曲やデモ音源を集めた「エクストラズ」より。カヴァーとしてはほとんど「そのまんま」なので、普通だったら私はあまり選ばないタイプのヴァージョンなのですが、この曲のカヴァーというものを考えたときに、このヴァージョンを無視するなどということは到底ありえないでしょう。ポール・ウェラーの、ビートルズへの熱い思いがストレートに伝わってきます。

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10) For No One / Diana Krall (from "Quiet Nights" 2009)

これも名曲。エミルー・ハリスやボビー・イーグルシャムなどカントリー系の人のカヴァーが比較的多く、それらも悪くはないのですが、ここでは「エルヴィス・コステロの嫁」ダイアナ・クラールの最新盤から選曲してみましょう。ストリングスをバックに、ハスキーな声で淡々と歌われるヴァージョンです。ちょっと感傷的な歌詞を持つこの曲を、感情を抑えて歌うことによって、深い悲しみを表現することに成功しています。

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11) Doctor Robert / Luke Temple (from "Revolver Reloaded" 2006)

この Covered Beatles を書いている私の感想からすると、「カヴァーを探すのが難しい3大ビートルズ・ソング」は、「Thank You Girl」、「You Know My Name」、そしてこの「Doctor Robert」であると思います(決して「Revolution No.9」ではありません)。しかし前述したMOJO誌の付録CDによって、「Doctor Robert」についての悩みは解決されました。しかもルーク・テンプルという「音響フォークの旗手」の手によるものですから、決定版ともいうべきカヴァーでしょう。電子音で構築されてはいますが、ギター弾き語りのオーガニックなトーンを忘れない、温かいエレクトロニカ。

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12) I Want To Tell You / The Smithereens (from "Songs From The Material World: A Tribute to George Harrison" 2003)

ビートルズからも強い影響を受けたアメリカのパワー・ポップ・バンド、ザ・スミザリーンズがジョージ追悼のトリビュート・アルバムに提供したカヴァー。原曲よりもハードにロックするヴァージョンで、ジャラジャラしたいかにもパワー・ポップなギターが気持ちいいです。

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13) Got To Get You Into My Life / Earth, Wind & Fire (from "Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" 1978 )

この曲はこのカヴァーで決まりでしょう。ブラス・ロックの先鞭をつけた曲を、アース・ウィンド&ファイアーのファンキーなホーン隊がダンサブルにキメまくる名ヴァージョンです。このアルバムはピーター・フランプトンとビージーズが主演、70年代のロック・スターが多数出演したミュージカル映画のサントラ盤。しかしこのアルバムに収められたビートルズ・カヴァーはどれもいまいちで、唯一の例外がこのEW&Fです。映画にも出てます。

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14) Tomorrow Never Knows / Phil Collins (from "Face Value" 1981)

アルバムのラストを飾るサイケデリック名曲のカヴァーは、誰のヴァージョンを選ぶべきでしょうか?モンスーンも有名だし、801とフィル・マンザネラ&ブライアン・イーノという恐ろしい面子によるカヴァーもある。個人的には、ペドロ・アズナールのブラジリアン・テイストのカヴァーも好きです。悩んだ末、ここはもうひとつの有名なカヴァー、フィル・コリンズのファースト・ソロ・アルバムからのヴァージョンでいきましょう。このヴァージョンの良いところは、混沌に満ちた曲が終わってから「オーヴァー・ザ・レインボウズ」を小さく口ずさんでいるところ。コンピレーションの終わりにこの余韻を加えたくて、このカヴァーを選びました。

非常に悩みましたが、かなり自信のあるコンピレーションが出来たと思います。次回はいよいよ「Sgt.Pepper's」です。

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Covered Beatles (7) Rubber Soul 編

ついにビートルズ・リマスター盤が出てしまいましたね。私が買ったのはいまのところモノ・ボックス(白箱)だけですが、いずれステレオ・ボックス(黒箱)も購入と相成るのでしょう。

初めてご訪問の方に改めてご説明を。全世界のアーティストにカヴァーされまくっているビートルズ・ナンバー。そこで、公式録音全曲を全部違う人のカヴァーで探すことができるか?というアホな試みに挑戦しています。ルールとしては(1)同じ人は二度登場させない(ただし、グループで登場した人のソロでの再登場は許容する)、(2)ビートルズが他の人の曲をカヴァーしている曲の場合は、そのオリジナルのヴァージョンの方を紹介する、(3)名カヴァーと呼ばれている有名なヴァージョンはできるだけ取り上げるように気を配りつつ、さらに通して聴いたときのコンピレーションとしての気持ちよさも意識する、といったところでしょうか。今回は名盤「Rubber Soul」。それ以前のアルバムについては過去記事をご参照ください(「Past Masters Vol.1」を含む)。

ところで「Rubber Soul」に関しては、少し前にこんなものが出ています。

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This Bird Has Flown: A 40th Anniversary Tribute To The Beatles' Rubber Soul (2005)

「ラバー・ソウル発売40周年記念」と銘打った全曲トリビュート盤です。正直なところ、こういうのがすでにあると新味のある選曲はやりづらいです。逆にいえば、ここから選曲すると非常に楽になります・・・。個人的にはこのトリビュート盤をさほど愛聴しているわけではありませんが(粗製乱造の傾向が強いビートルズ・トリビュート業界においては非常に良質な1枚だと思います)、有名アーティストも多く参加しているし、喜んで使わせて頂きましょう。

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1) Drive My Car / Black Heat (from "Keep On Runnin'" 1975)

言わずと知れた名曲なのでカヴァーも多く、その中から1曲を選ぶのはなかなか至難の技です。しかしコンピレーションのスターターとして考えれば、この70年代のスーパー・ファンク・バンドのヴァージョンが妥当かと思います。この曲の元ネタであるモータウン・サウンドを発展させた真っ黒な「先祖帰りカヴァー」。サックスも、コーラスも、とにかくブラックネスの極み。ファンキーだなあ。ちなみに、私はブレックファスト・クラブによる「80年代風ヴァージョン」も大好きです。興味がある方は是非ご一聴を。

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2) Norwegian Wood / The Moonflowers (from "Covers E.P." 1992)

ブリストルで結成され、ノルマンディーの農場に行ってしまった90年代のヒッピー・バンド、ムーンフラワーズによるカヴァー。この曲もやはり名曲なので多くのカヴァーがあります(セルジオ・メンデスのヴァージョンが有名ですね)。その中では、ジャズっぽいテイストでふわふわとしたこのカヴァーはかなり異色。アシッド的解釈とでもいいましょうか。

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3) You Won't See Me / Dennis Brown (from "Love Is So True" 1999)

ブライアン・フェリーによるヘナヘナしたヴァージョンが比較的有名。しかしフェリー氏は「It's Only Love」でもう既出ですので、ちょっと意外性を狙ってデニス・ブラウンによるレゲエ・カヴァーはいかがでしょうか。1999年に惜しくも亡くなってしまった「プリンス・オブ・レゲエ」の甘い歌声に癒されます。合掌。

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4) Nowhere Man / Randy Travis (from "Come Together: America Salutes The Beatles" 1995)

アメリカのカントリー・アーティストたちによるビートルズ・トリビュート盤の中の1曲。トラディショナル・カントリー界を代表するランディ・トラヴィスによるカヴァーだけに、アメリカ大陸の広大な大地をドライヴしながらカー・ラジオで聴きたくなるような雄大さです。ディラン風フォークがゴスペル・カントリーに化けてしまった、という感じでしょうか。

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5) Think For Youself / Finley Quaye (from maxi single "Spiritualized" 2000)

カテゴライズの難しいアーティスト、フェンリー・クェイによるカヴァーです。基本的なメロディーやギターのフレーズはオリジナルを踏まえているのですが、語るようなダブル・トラックのヴォーカル・スタイルが独特です。それにシタールも入っている(ジョージの曲だから?)。 なかなかオリジナリティのあるカヴァーが見つからない曲ですが、なんとも言えない違和感の残る面白いヴァージョンでした。

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6) The Word / Joan Jett (from "Music For The Cure" 2002)

乳がんサポート運動のチャリティー・アルバムに収録されている、ジョーン・ジェット姐さんのカヴァー。冒頭のギターのバリバリっとした音色が魅力的だし、何よりもパワフル。コーラス・ワークもきれい。

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7) Michelle / Ben Harper & The Innocent Criminals (from "This Bird Has Flown: A 40th Aniversary Tribute To The Beatles' Abbey Road" 2005)

超有名曲の割に決定的なカヴァーがないのは、原曲の完成度が高いせいでしょうか。有名なオーヴァーランダーズのヴァージョンは「そのまんま」で面白くないし、ベタベタなフォー・トップスのソウル・カヴァーも選びたくない。ということで、例のトリビュート盤からベン・ハーパーのヴァージョンを選曲。イントロこそ原曲そっくりですが、ヴァースからはレゲエ・タッチになるというアレンジに意外性があって面白い。西海岸風?

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8) What Goes On / Sufjan Stevens (from "This Bird Has Flown: A 40th Aniversary Tribute To The Beatles' Abbey Road" 2005)

続きますが、これも例のトリビュート盤から。このスフィアン・スティーヴンスのヴァージョンは本当に素晴らしい。アレンジの方向性としてはジョニ・ミッチェル・トリビュートにおける「Free Man In Paris」と同じといえます。すなわち、原曲のメロディーをかなり崩しつつ、管楽器を効果的に取り入れたアレンジ。「スフィアン流」としか言いようのない、オリジナリティのあるサウンドです。

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9) Girl / Tiny Tim with Brave Combo (from "Girl" 1996)

クリス・デ・バーのヴァージョンは有名だしクオリティも高いけど、インパクトには欠ける。しかしキャシー・バーベリアンのバロック風のカヴァーは他の曲の方が面白いし・・・と思っていたら、出会ったのがタイニー・ティムの怪演。しかもブレイヴ・コンボとの共演です。これは変だ。わけのわからない後半の展開が好き。

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10) I'm Looking Through You / Martin Simpson (from "Rubber Folk" 2006)

ラバー・ソウル発売40周年を記念して放送された、BBC2のラジオ番組から生まれたコンピレーションより。ブリティッシュ・トラッド・フォークのアーティストたちに、ラバー・ソウル全曲をカヴァーしてもらうという企画ですが、この出来が素晴らしい。全員がトラッドのフィールドに引き寄せて独自の解釈を施しているので、ビートルズのケルト・ルーツまでもが透けて見えてくるような名演ばかりです。マーティン・シンプソンもブリティッシュ・フォークをルーツとするギタリスト。英国トラッドの香りたっぷりの弾き語りです。

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11) In My Life / Judy Collins (from "In My Life" 1966)

これは昔から有名なヴァージョン。ギター弾き語りというシンプルなスタイルですが、澄み切ったジュディ・コリンズの声が本当にいいです。個人的にはこれと双璧のヴァージョンが、映画「フォー・ザ・ボーイズ」でベット・ミドラーがヴェトナム戦争の慰問歌手として歌ったもの(サントラで聴けます)。あちらのバッキングはエレピでしたが、多分ドン・グルーシンの演奏。映画ではいきなりそのへんの兵隊が弾いていてびっくりしました。

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12) Wait / Barbara Casini Quartet (from "Stasera Beatles" 1998)

イタリアのボサ・ノヴァ・シンガー、バーバラ・カシーニのビートルズ・トリビュート盤より。このアルバムはボサノヴァというよりも、カルテットでのジャズっぽい演奏でまとめられていますが、どの曲も素晴らしい出来なので非常におすすめです。この「ウエィト」も原曲のイメージを一新するジャズ・アレンジで、トロピカルな雰囲気もあり、名カヴァーです。

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13) If I Needed Someone / Caravan (from "Apple of his eye りんごの子守唄" 2006)

ピースフルなシンガー・ソングライター、Caravan によるカヴァー。原曲が魅力的なだけに、ジョージの曲としてはカヴァーに恵まれている方だと思います。いろんな人のヴァージョンがありますが、個人的には「I Am Sam」の日本盤ボーナストラックに入っているTICAのヴァージョンも同じリラックス系として気に入っています。悪くないです。

Boots






14) Run For Your Life / Nancy Sinatra (from "Boots" 1966)

コンピレーションの最後はナンシー・シナトラに締めてもらいましょう。1966年のデビュー・アルバムより。俗っぽいバッキングもなかなかですが、"That's the end, little boy..."という囁きが何だか色っぽいです。こういうのジョン・レノンは結構気に入ったと思うのですが、いかが。

次回は名盤「Revolver」ということで。

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