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ひたすら疾走の1時間半

C_unstop1暴走する列車の映画といえば、コンチャロフスキー(脚本は黒澤)の「暴走機関車」を超えるものは今後もまずないだろう。あれと真っ向から勝負するのは難しいと、当然プロデューサーも監督も考える。勝てるのは進化した撮影技術だけだ。だから作品に深みを加える人間ドラマのようなものはバッサリ省いてしまい、とにかく迫力のある鉄道の映像を撮ることにすべての資源を注ごう。おそらくはそういう考えで作られたのがこの映画「アンストッパブル」である。

ヘリコの空撮を多用した、スピード感満点のスリリングな映像が素晴らしい(映像にはこだわるスコット兄弟の腕の見せ所)。結末はだいたいわかっているのに、思わず手に汗を握る映像の力だけで最後まで見せ切ってしまうのだから凄い。その一方で、ストーリーはこれ以上単純化できないほど単純。「暴走する列車を止める」、ただそれだけである。主人公たちの家族物語は、本来は時間を割いて感情移入たっぷりに描かれる要素なのだが、完全に背景に退いている。やや反発しあっている主人公同士の関係など、観客をハラハラさせる上では最高においしい要素だと思うのだが、物語の中でこれは活かされない。サイドストーリーと呼べるのは、利益を優先するあまり事態を甘く見る鉄道会社の話だけだ。本当に、ただただひたすら列車が暴力的に疾走するだけの映画。

正直なところ、本作の上映時間である1時間38分は、この手法で見せられる限界時間であるように思う。観終わった後は安堵感と同時に「これだけ?」という拍子抜けが待っている。

トニー・スコット監督、2010年。

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