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Mainphoto1この映画についてはいくらでも書けるような気もするし、何を書いてもまったく徒労に終わるような気もする。だから観たという自分の記録として書き記し、手短に済ませよう。全編をHDカムで撮影し、ファイナル・カット・プロで編集したゴダール初の全編デジタル・シネマ、「フィルム・ソシアリスム」。ほぼすべてのセリフが引用(クレジットで典拠も示されている)。音も映像もノイズに満ち溢れており、ここにきてゴダールのソニマージュはまた全然違うところに向けて走り出している。もはやECMの音楽はなく、言葉を失うような美しいカットもない。アルゴ号をモチーフにして始まるストーリーは、ヨーロッパ文明の始原に向かっていくようにみえるが、その航海のどこかで音と映像の渦の中に飲み込まれ、あてどなく漂い続ける。ヨーロッパとは何か、どこから来たのか、そしてどこへ行こうとしているのかとゴダールは問うている。

ゴダールの映画は、音楽を聴くように観ないと「理解」できない。そしてその圧倒的な体験は、観た者が思わず何事かを語りたくなってしまうようなものだ。でも残念ながら、その体験を上手に語るだけの力を今の私は持っていない。うまく言葉にはできないけれど、なんだか凄いというものも世の中にはたくさんあるのだ。通人のふりをして借り物の言葉でゴダールを語ることは、この体験を矮小化してしまうだけのようにいまの私には感じられる。いまはただ、リアルタイムでゴダールを観ているということの意味を、いつか自分の言葉で語れるように準備しておくだけだ。それまでは「ノー・コメント」で。

ジャン=リュック・ゴダール監督、2010年。

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