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「ラプソディー・イン・ブルー」についてのノート(番外編)

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Michel Camilo (p) Ernest Martinez Izquierdo / Barcelona Symphony Orchestra (L'Auditori, Barcelona, Spain, February 2-4, 2005)


このブログへのアクセスを見ていると、意外と「ラプソディ・イン・ブルー」がらみで検索してこられる方がいらっしゃいますね。ご訪問ありがとうございます。だいぶ前に書いた記事で、様々な版の成り立ちとそれらの違い、ならびに「オリジナル版」や「フル・オーケストラ版」の演奏における慣習的なカットについての考察を行ったので、そちらをご覧になっているのでしょう。ポピュラー名曲なのに意外と知られていない情報なので、何かの参考になれば幸いです。

さて、そのときガーシュイン自身の録音のひとつについて「ミッシェル・カミロもびっくり」と書きましたが、不勉強なもので、そのときすでにカミロの録音があったのを知りませんでした。先日、偶然発見して聴きましたが、これは凄くいいです。

1946年の「フル・オーケストラ版」、しかもノー・カットの演奏です。冒頭のクラリネット・ソロに象徴されるように、オケにブルージーな感覚がたっぷり注入されているところが面白いのですが、やっぱり聴きものはカミロのソロ。ジュリアードで勉強していただけあって、クラシック界の名だたるピアニストと比較しても全く遜色のないテクニックと音色です。それだけでなく、この曲には絶対に欠かせない柔軟なリズム感覚があり、これに関してはプレヴィンやバーンスタインもかなわないでしょう。それがよくわかるのは曲中に何度も登場するカデンツァのようなソロの部分で、カミロはときにはビートをシャッフルさせ、装飾音も入れながらスピーディーな演奏を展開していきます。これがバーンスタインみたいに野暮ったく聴こえないのは、カミロのセンスが素晴らしいからに他なりません。そしてラテン風のフレーズを繰り出すときのエキサイティングな感覚はまさに天下一品。この曲が「20年代ジャズの要素を取り入れたクラシック」なのではなく、「20年代ジャズとクラシックの中間的な作品」であることをはっきりと認識させてくれる素晴らしい演奏です。

このディスクにはへ調のコンチェルトも入っていて、これがまた目の覚めるような演奏。うーん、これを聴いてしまうと、もうクラシック・ピアニストのガーシュインは聴けなくなってしまうかもしれない。CDショップでは、このディスクは「ジャズ」のところに置いてあるのでご注意ください。クラシックの評論家の人はちゃんとこういうのも聴いてね。

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