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ディズニー的3D映画

Tnr1012170921003p11「トロン:レガシー」を見た。1982年の「トロン」第1作公開時、私はまだ小学生で、本編を映画館で観ることはなかった。でもたぶん予告編か何かで映像を観ているので、あの映像感覚は(当時の時代感覚とともに)頭の中に焼き付いている。今回の新作に関しては、おそらく第1作を観ている人とそうでない人はやや感想が違うだろう。登場するキャラクターの意味合いなど、第1作を観ているファンの方が理解しやすい部分があるのだ。もちろん、観ていなくても理解できるようには作られている。いずれにしても、評価の大きな部分は変わらない。

ストーリーに関して言うと、恐ろしいほどに単純である。「主人公が故郷から異郷に試練の旅に出かけ、そこで悪と対決する。両義的な存在の助けを得て悪を倒し、女を得て故郷に戻る」。思わず物語の構造分析の事例にしたくなるほどだ。ついでに言うと、エディプス・コンプレックスそのままの父殺しの物語でもある。ということでほとんど神話レヴェルまで単純化されたお話だ。平板とまでは言わないが、完全に予想できる安心な展開。もうこれは、ストーリーはどうでもいいから映像を楽しんでください、というメッセージにしか思えない。

その映像だが、このレトロ・テクノ感覚は確かに美しい。CGの世界になってから3Dになる、というアイディアも悪くはない。しかしこの映像、全然驚くようなものではないだろう。全編を通じて画面が暗くてメリハリに欠けるし、いまさらCGの技術がどうこういうような時代でもない。3Dの技術も、正直言ってこんなものかと思った。前宣伝が派手だっただけに、これまでの3D映画とは何か違うものが「体感」できるのかと思って期待したが、この程度だったら2Dでストーリー・テリングの巧みな映画の方がはるかに楽しめると感じた。3Dがそこまでの表現効果に至っていないのだ。それでも3Dということで料金だけは高いのだから、恐れ入る。私は3D映像表現の可能性を否定するものではないが、私たちはまだ本当に面白い3D映像作品を作り出せていないと思う。

ということでまたしても辛口の評価になってしまうが、ストーリーが平凡で映像もイマイチなのだから仕方がない。良かったのはダフト・パンクの音楽ぐらいか。この映画をもとにしたアトラクションかゲームの方が映画よりはるかに面白そうだと思ってしまうのだ・・・ああ、そういうことだったのか。やっぱりディズニー映画だね。

ジョセフ・コシンスキー監督、2010年。

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