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Covered Beatles (15) Let It Be 編

再開した Covered Beatles の先を急ぎましょう。ついにラスト・アルバム(発売順では)の「Let It Be」の登場です。このアルバムは同名映画のサントラであり、内容は未発表に終わった「Get Back」セッションの記録をまとめたものなので、作品としての統一感はあまりないのですが、晩期ビートルズの姿をありのままに映し出している点で貴重です。カヴァー意欲をそそる名曲も多し。

I_am_sam







1) Two Of Us / Aimee Mann & Michael Penn (from orginal soundtrack "I Am Sam"2001)

オリジナルではジョンとポールがデュエットするこの曲(映画では1本のマイクをふたりで分け合って歌うシーンが感動的)を、ビートルズ・カヴァー好きには外せない「アイ・アム・サム」のサントラより。選曲のポイントはズバリ、エイミー・マンとマイケル・ペンのおしどり夫婦が歌っていること。誰もがオリジナルの演奏にジョンとポールの関係を聴いてしまうように(本当はポールとリンダのことらしいのですが)、この曲の場合どんなふたりが歌っているのかということが結構大事なのではないかと思います。このカップルの精神的な結びつきを感じられるこのカヴァー、何度聴いても気持ち良い。そういう意味では、同じサントラに入ってるニール&リアム・フィンの父子デュオも好きです。

Live






2) Dig A Pony / Screaming Headless Torsos (from"Live"2002)
このカヴァーを itunes で発見した時には、こんなマニアックなバンドの曲がネット上に出回っていて大丈夫なのかと心配してしまいました。変態系ギタリストとして有名なデヴィッド・フュージンスキー(フューズ)率いる変態系ファンク・バンドの1996年ニューヨークでのライヴを収録したアルバムより。変態系ヴォーカリストのディーン・ボウマンもノリノリの絶好調、フューズも弾きまくりです。このジョンのお遊び的な感覚のワルツがこんなかっこいいファンク・チューンに生まれ変わるなんて、脱帽です。そういえば原曲もルーフ・トップ・セッションのライヴでした。

Pleasantville






3) Across The Universe / Fiona Apple (from original soundtrack "Pleasantville"1996)
ジョンの名曲だけに有名なカヴァーも多く、選曲が悩ましい1曲です。完全に自分の世界で勝負するデヴィッド・ボウイ(「ヤング・アメリカン」収録)のパワフルな歌唱も素晴らしいし、ジョンよりも明らかに上手いルーファス・ウェインライト(「アイ・アム・サム」サントラ収録)のヴァージョンも定評があります。真っ暗闇で演奏しているようなクラムボンの瞑想的なカヴァーも面白い。しかし悩んだあげく、コンピレーションとしての流れも考えてここはフィオナ・アップルでいかがでしょうか。当初は「プレザントヴィル」のサントラに収められ、後に日本盤のボーナス・トラックなどにも入ったこのカヴァー、淡々としていながらも全面的にフィオナの感性で塗り直された新鮮なヴァージョンです。

Songs_from_the_material_world






4) I, Me, Mine / Marc Ford (from"Songs From The Material World: A Tribute To George Harrison"2003)
このジョージのヘヴィーなワルツは、ジョージ追悼トリビュート盤に収められた、元ブラック・クロウズのギタリスト、マーク・フォードのカヴァーで。映画では、この曲にあわせてジョンとヨーコが踊るシーンが印象に残っています。マーク・フォードの解釈は原曲よりさらにブルージーでヘヴィーなもの。シャッフル部分の重いブギ感もいいです。

Let_it_be






5) Dig It / Leibach (from"Let It Be"1988)
こんな曲にもカヴァーがあってよかった。ビートルズ・カヴァー好きには有名なスロヴェニアのバンド、ライバッハの「Let It Be」カヴァー・アルバムに収められたヴァージョンです。ジャンルとしてはインダストリアルということになるのでしょうが、ひたすら個性的。またこのアルバムは「Let It Be」のカヴァー・アルバムでありながら、なぜか「Let It Be」は収められず、かわりに「Get Back」が入っていることでも知られています。

This_girls_in_love_with_you_2






6) Let It Be / Aretha Franklin (from"This Girl's In Love With You"1970)
アトランティック・レコードの創始者であるアーメット・アーティガンは「この曲はもともとポールがアレサのために書いた曲」と語っていたそうですが、本当かしらん。でもその言葉も信じたくなってしまうようなカヴァーです。名曲だけにカヴァーの数も半端ではなく、中でもグラディス・ナイト&ザ・ピップス、レイ・チャールズ、キング・カーティスといった人のカヴァーが素晴らしい出来。ゴスペル・フィーリングたっぷりの曲なので、ブラック・ミュージックの人の解釈にやっぱり説得力があるのです。そういう意味で、やっぱりゴスペル感覚たっぷりのアレサが素晴らしい。後半のフェイクによる盛り上がりも凄い。

Great_british_skiffle_vol2






7) Maggie Mae / The Vipers Skiffle Group (from"Great British Skiffle: Just About As Good As It Gets!"2008)
トラディショナル曲のビートルズによるカヴァー。ビートルズが前身のクオリーメン時代からよく演奏していた曲です。オリジナル演奏と呼べるものはないかな~と思っていたら、オムニバスの中にありました。50年代のロンドンで大活躍していたスキッフル・グループ、ザ・ヴァイパーズによる録音です(ただしタイトルは「Maggie May」)。これがまさにビートルズの「Maggie Mae」そのまんまで、ビートルズもスキッフルから出発していることがよくわかります。なお、このグループのプロデューサーは実はジョージ・マーティン。偶然なのかどうか…。

Kgb






8) I've Got A Feeling / KGB (from"KGB"1975)
マイク・ブルームフィールド、バリ・ゴールドバーグ、カーマイン・アピス、リック・グレッチ、レイ・ケネディという豪華メンバーが集まったスーパー・バンド(しかしこのメンバーでのアルバムはこの1枚のみ)によるカヴァー。冒頭からマイク・ブルームフィールドのスライドがキュイ~ンときてしびれます。ソウル感たっぷりのレイ・ケネディのボーカルも素晴らしく、女声バック・ヴォーカルがこれを引き立てる。この曲のファンキーでソウルフルな側面にスポットを当てた名解釈だと思います。他のカヴァーとしてはパール・ジャム(ファースト・アルバム「テン」の日本盤ボーナス・トラック)も決して悪くないのですが、「All these years I've been wandering around…」のところでエディ・ヴェダーが高音が出ずに失敗してるのが気になります。

Come_together






9) One After 909 / Willie Nelson (from"Come Together: America Salutes The Beatles"1995)
ジョンとポールの若書きによるロックン・ロール・ナンバーを、カントリー界の大御所ウィリー・ネルソンがカヴァー。何しろトレイン・ソングといえばカントリーの定番です。ここでも疾走する汽車の汽笛をハーモニカで鳴らしながら駆け抜けます。これがなかなか爽快。

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10) The Long And Winding Road / Ray Charles & Count Basie Orchestra (from"Ray Sings Basie Swings"2006)
なんとレイ・チャールズとカウント・ベイシー・オーケストラの夢の共演による「The Long And Winding Road」。これは凄いです。ただし本物の共演というわけではありません。1973年に両者がライヴで共演したレコーディングが新たに発見され聴いてみたところ、レイの歌は素晴らしかったものの、オーケストラの録音があまりに貧弱だったため、オケは新たにスタジオで新しく取り直して編集技術でうま~くはめこんだ…ということらしいです。まあいずれにせよソウルに溢れた素晴らしい演奏。レイは凄い。この曲がこんな風になるんだ…ということが驚きをもって体感できます。

The_beatles_uke






11) For You Blue / Greg Hawkes (from"The Beatles Uke"2008)
ここでちょっと息抜きのインストを。ジョージのフォーク・ブルーズを、元カーズのキーボーディストだったグレッグ・ホークスがウクレレだけでやってみましたというカヴァー。これがなかなか面白く聴けるのは、ジョージも後年ウクレレを愛好していたから。まるでジョージが演奏しているような気がしてくるから不思議で、ジョージへの愛が感じられる素敵なヴァージョン。

All_this_and_world_war_ii






12) Get Back / Rod Stewart (from original soundtrack "All This And World War II"1976)
この名曲も数多くのカヴァー・ヴァージョンがありますが、最後はロッド・スチュワートに締めてもらいましょう。壮大に始まるこのヴァージョン、本編のアレンジには大きな冒険はないものの、やはりロッドがあの声で歌っているところが非常に魅力的。そして最後、曲が終わってからロッドが冒頭の歌詞を呟くように歌うところが、なんだか寂寥感と開放感の両方が感じられてとてもいいのです。ひとつのバンドがここで終わったんだ、ということを感じられるカヴァー・ヴァージョンを、このアルバムの最後に置いておきたいと思います。

オリジナル・アルバムはこれですべてカヴァーを紹介し終わりました。次回は、最後に残った「Past Masters Volume 2」です。

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