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キョーハクのトーハク

Tohaku没後400年となる長谷川等伯の展覧会が、京都国立博物館で開催されている。京博では一昨年に狩野永徳展が開催されており、ちょうど対になるような大規模な回顧展だ。開催期間が短く、驚異的な人混みになっているところも永徳展と一緒。

ちょうど1年前、僕は仕事のおかげでだいぶ等伯について勉強することができた。京都の寺院だけでなく、七尾や羽咋や高岡にも何度か足を運び、現地で作品を見せて頂いたり、所蔵者の方からお話を伺ったりする貴重な機会に恵まれた。 その経験の上でこの展覧会を見ることができたことを、非常に幸運に思う。

信春時代の仏画作品は、どれも一般には目にする機会の少ないものばかりだ。展示室に溢れる人混みをものともせず、ガラスケースにぴったりを顔をくっつけるようにして(本当にくっつけてはいけません)じっくりと見るのが正しい。細密画というにふさわしい、信じがたいほど細かい装飾の技法に圧倒されることだろう。これまで図版でしか見ることのできなかった重要な作品がいくつも出展されている。その中でも「善女龍王像」は絵画として本当に美しい作品だと思う。多くの作品が400年以上前のものとは思えない素晴らしい状態で残されているが、これは所蔵してきた寺院の扱いが丁寧であったということと同時に、信春が使った顔料や膠の質が最高級のものであったということを意味している。

圓徳院の「山水図襖」、智積院の「楓図」「松に秋草図」に大勢の人が群がっていたが、実はこれらはそれぞれの寺で常時公開されている作品。会場の人混みの中で見るよりも、後日ゆっくりと見た方が気持ちがいいだろう。だいたい、襖絵とか屏風絵は会場が混み過ぎていると「引き」でちゃんと見れないので、構図がよくわからない。また、皆が感嘆の声を上げていた巨大な「仏涅槃図」も、本法寺で毎年涅槃会のシーズンに一定期間公開されているもの。本法寺にはこの涅槃図を吊るすスペースがちゃんとあるので、そこできちんと見た方がこの絵の面白さはわかると思う。

一方、肖像画や水墨画は有名な割に公開されることが非常に少ないので、今回は貴重な機会となった。肖像画では「武田信玄像」「千利休像」といった教科書レヴェルの重要作が見られるのが鳥肌もの。水墨画では隣華院の「山水図襖」、龍泉庵の「枯木猿猴図」、真珠庵の「蜆子猪頭図襖」等々、どれも本物が見れて良かったという作品ばかり。そして「松林図屏風」に関しては、もはや語ることは何もない。何度対面しても新しい発見がある。今回は、「月夜松林図屏風」と同じ部屋で比較できたところも面白かった。

「松林図屏風」の影響か、等伯は永徳に比べると地味なイメージを持たれがちな絵師だ。しかし実際はとてもエネルギッシュで多彩な活動をした人で、人生も実にドラマチックで面白い(最後は江戸で亡くなっているのだ)。これを機に一般的な知名度が上がるといいなあ、と桃山&江戸絵画ファンとしては思ったりする。

音声ガイドの松平さんの「そのとき、歴史が動いたのです」 には爆笑。

5月9日まで。

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5/7に京都国立博物館で特別展覧会「没後400年 長谷川等伯」を鑑賞してきたので感想を [続きを読む]

受信: 2010年5月13日 (木) 20時04分

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