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ちょっと微妙なレーピン

美人ヴァイオリニスト・シリーズ番外編、「美男ヴァイオリニスト・シリーズ」。

ヴァディム・レーピンのリサイタルに行ってきました。大阪ではリサイタルがないので残念だな・・・と思っていたら、ちょうど休みが取れたので、東京にレッツゴー。

2010年4月1日(木) サントリーホール

ヤナーチェク: ヴァイオリン・ソナタ
ブラームス: ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 作品108
R.シュトラウス: ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 作品18

ヴァイオリン:ヴァディム・レーピン

ピアノ:イタマール・ゴラン

現役の男性ヴァイオリニストの中では、僕が最も買っている奏者のひとりがレーピンです。それは、僕が偏愛するオイストラフにだんだん芸風が似てきたように感じていることが大きいのかもしれません。実演もすでに何回か体験しています。ですが、先に結論から書いてしまうと、今回はちょっと戸惑いました。

彼の美質は十分に発揮されていたのです。ヤナーチェクのソナタから、いつものあたたかく輝かしい美音が鳴っていました。この対等なデュオは即興的な音楽の流れを重視しているようで、テンポを揺らしながらのめりこんでいく解釈もいい。ボウイングも信じられないほど達者。いつもの「若くしてすでに巨匠風」の安定感ある音楽が展開されていました。

ちょっと危ないと思い出したのはブラームスぐらいからでしょうか。あれ、ちょっと音程が不安定かもしれない・・・と思っていたら、感動的な第2楽章の最初のクライマックス(21小節目)、Dの上に3度で乗せる重音を思いっきり外しました。これは実にレーピンらしからぬミス。思わず心の中で「おぉ!」と叫んだほどでした。もちろん2回目(59小節目)はちゃんと決めてきましたが、このあたりから明らかに集中力が切れた感じ。響きは相変わらず美しいのだけれど、いつもの自信たっぷりな音の太さが失われてしまいました。フィナーレはきちんと盛り上げて終わりましたが、やや消化不良。

休憩後にシュトラウスのソナタ。第1楽章は持ち直したかと思ったのですが、第2楽章の中間部後半、ミュートをつける直前の部分でまたも痛恨のミス。「どうしたんだ、ヴァディム!」と叫びたくなりました。そこからまた集中力が落ちた感じで・・・。フィナーレは勢いに任せる方向に舵を切ります。エンディングへとがむしゃらに突き進む感じは、それはそれで非常にスリリングで面白かったと思いますが、最終的にはゴランに救われたという印象です。最後が盛り上がったので盛大な拍手ではありましたが、曲のハートをちゃんと掴み取ったかといえば疑問が残りました。

アンコールは3曲。

ショスタコーヴィチ: 24の前奏曲より 作品34-17(ツィガーノフ編)
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲
チャイコフスキー: 感傷的なワルツ


肩の力が抜けてリラックスした分、この3曲ではレーピンらしい余裕のある演奏が復活。ここ数年リサイタルで「ルーマニア民俗舞曲」を聴くことがなぜか多いように思います。レーピンの余裕たっぷりの(ちょっと弾き飛ばす感じもある)演奏も悪くはないのですが、庄司紗矢香の息の詰まるような完璧な演奏と比較してしまうと、やや分が悪いかもしれません。まあ、アンコールにそんなものを求めるほうがどうかしているとは思うのですが。

ということで、僕がこれまで聴いてきたレーピンの実演としては最も「ビミョー」な内容。日本公演も終盤なので疲れていたのかもしれないし、たまたまちょっと調子が悪かったのかもしれない。トッパンホールでのリサイタルは悪くなかったようなので、「まあこんな日もあるよね」ということなのだと思います。次回に期待しましょう。なお、1階席の後方はガラガラ。2階席も結構空席がありました。クラシックのチケットが売れなくなっている現実は最近とみに感じますが、レーピンでもこれか!とちょっとびっくりです。

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受信: 2010年4月11日 (日) 16時12分

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