« 2009年7月 | トップページ | 2009年11月 »

Covered Beatles (7) Rubber Soul 編

ついにビートルズ・リマスター盤が出てしまいましたね。私が買ったのはいまのところモノ・ボックス(白箱)だけですが、いずれステレオ・ボックス(黒箱)も購入と相成るのでしょう。

初めてご訪問の方に改めてご説明を。全世界のアーティストにカヴァーされまくっているビートルズ・ナンバー。そこで、公式録音全曲を全部違う人のカヴァーで探すことができるか?というアホな試みに挑戦しています。ルールとしては(1)同じ人は二度登場させない(ただし、グループで登場した人のソロでの再登場は許容する)、(2)ビートルズが他の人の曲をカヴァーしている曲の場合は、そのオリジナルのヴァージョンの方を紹介する、(3)名カヴァーと呼ばれている有名なヴァージョンはできるだけ取り上げるように気を配りつつ、さらに通して聴いたときのコンピレーションとしての気持ちよさも意識する、といったところでしょうか。今回は名盤「Rubber Soul」。それ以前のアルバムについては過去記事をご参照ください(「Past Masters Vol.1」を含む)。

ところで「Rubber Soul」に関しては、少し前にこんなものが出ています。

This_bird_has_flown






This Bird Has Flown: A 40th Anniversary Tribute To The Beatles' Rubber Soul (2005)

「ラバー・ソウル発売40周年記念」と銘打った全曲トリビュート盤です。正直なところ、こういうのがすでにあると新味のある選曲はやりづらいです。逆にいえば、ここから選曲すると非常に楽になります・・・。個人的にはこのトリビュート盤をさほど愛聴しているわけではありませんが(粗製乱造の傾向が強いビートルズ・トリビュート業界においては非常に良質な1枚だと思います)、有名アーティストも多く参加しているし、喜んで使わせて頂きましょう。

Keep_on_runnin






1) Drive My Car / Black Heat (from "Keep On Runnin'" 1975)

言わずと知れた名曲なのでカヴァーも多く、その中から1曲を選ぶのはなかなか至難の技です。しかしコンピレーションのスターターとして考えれば、この70年代のスーパー・ファンク・バンドのヴァージョンが妥当かと思います。この曲の元ネタであるモータウン・サウンドを発展させた真っ黒な「先祖帰りカヴァー」。サックスも、コーラスも、とにかくブラックネスの極み。ファンキーだなあ。ちなみに、私はブレックファスト・クラブによる「80年代風ヴァージョン」も大好きです。興味がある方は是非ご一聴を。

Covers_ep






2) Norwegian Wood / The Moonflowers (from "Covers E.P." 1992)

ブリストルで結成され、ノルマンディーの農場に行ってしまった90年代のヒッピー・バンド、ムーンフラワーズによるカヴァー。この曲もやはり名曲なので多くのカヴァーがあります(セルジオ・メンデスのヴァージョンが有名ですね)。その中では、ジャズっぽいテイストでふわふわとしたこのカヴァーはかなり異色。アシッド的解釈とでもいいましょうか。

Love_is_so_true






3) You Won't See Me / Dennis Brown (from "Love Is So True" 1999)

ブライアン・フェリーによるヘナヘナしたヴァージョンが比較的有名。しかしフェリー氏は「It's Only Love」でもう既出ですので、ちょっと意外性を狙ってデニス・ブラウンによるレゲエ・カヴァーはいかがでしょうか。1999年に惜しくも亡くなってしまった「プリンス・オブ・レゲエ」の甘い歌声に癒されます。合掌。

Come_together






4) Nowhere Man / Randy Travis (from "Come Together: America Salutes The Beatles" 1995)

アメリカのカントリー・アーティストたちによるビートルズ・トリビュート盤の中の1曲。トラディショナル・カントリー界を代表するランディ・トラヴィスによるカヴァーだけに、アメリカ大陸の広大な大地をドライヴしながらカー・ラジオで聴きたくなるような雄大さです。ディラン風フォークがゴスペル・カントリーに化けてしまった、という感じでしょうか。

Spiritualized






5) Think For Youself / Finley Quaye (from maxi single "Spiritualized" 2000)

カテゴライズの難しいアーティスト、フェンリー・クェイによるカヴァーです。基本的なメロディーやギターのフレーズはオリジナルを踏まえているのですが、語るようなダブル・トラックのヴォーカル・スタイルが独特です。それにシタールも入っている(ジョージの曲だから?)。 なかなかオリジナリティのあるカヴァーが見つからない曲ですが、なんとも言えない違和感の残る面白いヴァージョンでした。

Music_for_the_cure






6) The Word / Joan Jett (from "Music For The Cure" 2002)

乳がんサポート運動のチャリティー・アルバムに収録されている、ジョーン・ジェット姐さんのカヴァー。冒頭のギターのバリバリっとした音色が魅力的だし、何よりもパワフル。コーラス・ワークもきれい。

This_bird_has_flown_2






7) Michelle / Ben Harper & The Innocent Criminals (from "This Bird Has Flown: A 40th Aniversary Tribute To The Beatles' Abbey Road" 2005)

超有名曲の割に決定的なカヴァーがないのは、原曲の完成度が高いせいでしょうか。有名なオーヴァーランダーズのヴァージョンは「そのまんま」で面白くないし、ベタベタなフォー・トップスのソウル・カヴァーも選びたくない。ということで、例のトリビュート盤からベン・ハーパーのヴァージョンを選曲。イントロこそ原曲そっくりですが、ヴァースからはレゲエ・タッチになるというアレンジに意外性があって面白い。西海岸風?

This_bird_has_flown_3






8) What Goes On / Sufjan Stevens (from "This Bird Has Flown: A 40th Aniversary Tribute To The Beatles' Abbey Road" 2005)

続きますが、これも例のトリビュート盤から。このスフィアン・スティーヴンスのヴァージョンは本当に素晴らしい。アレンジの方向性としてはジョニ・ミッチェル・トリビュートにおける「Free Man In Paris」と同じといえます。すなわち、原曲のメロディーをかなり崩しつつ、管楽器を効果的に取り入れたアレンジ。「スフィアン流」としか言いようのない、オリジナリティのあるサウンドです。

Girl






9) Girl / Tiny Tim with Brave Combo (from "Girl" 1996)

クリス・デ・バーのヴァージョンは有名だしクオリティも高いけど、インパクトには欠ける。しかしキャシー・バーベリアンのバロック風のカヴァーは他の曲の方が面白いし・・・と思っていたら、出会ったのがタイニー・ティムの怪演。しかもブレイヴ・コンボとの共演です。これは変だ。わけのわからない後半の展開が好き。

Rubber_fok






10) I'm Looking Through You / Martin Simpson (from "Rubber Folk" 2006)

ラバー・ソウル発売40周年を記念して放送された、BBC2のラジオ番組から生まれたコンピレーションより。ブリティッシュ・トラッド・フォークのアーティストたちに、ラバー・ソウル全曲をカヴァーしてもらうという企画ですが、この出来が素晴らしい。全員がトラッドのフィールドに引き寄せて独自の解釈を施しているので、ビートルズのケルト・ルーツまでもが透けて見えてくるような名演ばかりです。マーティン・シンプソンもブリティッシュ・フォークをルーツとするギタリスト。英国トラッドの香りたっぷりの弾き語りです。

In_my_life






11) In My Life / Judy Collins (from "In My Life" 1966)

これは昔から有名なヴァージョン。ギター弾き語りというシンプルなスタイルですが、澄み切ったジュディ・コリンズの声が本当にいいです。個人的にはこれと双璧のヴァージョンが、映画「フォー・ザ・ボーイズ」でベット・ミドラーがヴェトナム戦争の慰問歌手として歌ったもの(サントラで聴けます)。あちらのバッキングはエレピでしたが、多分ドン・グルーシンの演奏。映画ではいきなりそのへんの兵隊が弾いていてびっくりしました。

Stasera_beatles






12) Wait / Barbara Casini Quartet (from "Stasera Beatles" 1998)

イタリアのボサ・ノヴァ・シンガー、バーバラ・カシーニのビートルズ・トリビュート盤より。このアルバムはボサノヴァというよりも、カルテットでのジャズっぽい演奏でまとめられていますが、どの曲も素晴らしい出来なので非常におすすめです。この「ウエィト」も原曲のイメージを一新するジャズ・アレンジで、トロピカルな雰囲気もあり、名カヴァーです。

Apple_of_his_eye






13) If I Needed Someone / Caravan (from "Apple of his eye りんごの子守唄" 2006)

ピースフルなシンガー・ソングライター、Caravan によるカヴァー。原曲が魅力的なだけに、ジョージの曲としてはカヴァーに恵まれている方だと思います。いろんな人のヴァージョンがありますが、個人的には「I Am Sam」の日本盤ボーナストラックに入っているTICAのヴァージョンも同じリラックス系として気に入っています。悪くないです。

Boots






14) Run For Your Life / Nancy Sinatra (from "Boots" 1966)

コンピレーションの最後はナンシー・シナトラに締めてもらいましょう。1966年のデビュー・アルバムより。俗っぽいバッキングもなかなかですが、"That's the end, little boy..."という囁きが何だか色っぽいです。こういうのジョン・レノンは結構気に入ったと思うのですが、いかが。

次回は名盤「Revolver」ということで。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年7月 | トップページ | 2009年11月 »