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幻想の南極

雪男たちの国
ノーマン・ロック(柴田元幸訳)
「雪男たちの国 ジョージ・ベルデンの日誌より」河出書房新社

帯がいいですね。「目が覚めたら、私は南極にいた」。帯裏もいいですね。「凍った影、死者の音楽、残酷な詩、氷河に現れた赤い靴の女」。このフレーズのうちどれかはそのうち使ってみたくなること請け合い。

柴田氏の訳だと、どんな本でも何となく読んでみたいという誘惑に駆られるものですが、これもそんな誘惑に負けた一冊。偶然発見されたジョージ・ベルデンの日誌をもとにしているという文学的な仕掛けはともかく、ある朝起きたらスコットの探検隊の一員になっていたという設定は、読み手をぐっとひきつけてしまう魅力的なものです。文章は全編に詩的なイメージが満ち溢れていて、それがうっすらと靄のかかったような極地での精神状態を反映しているような感じなのですが・・・ん~、正直なところ物語としてはちょっと読みにくいです。語りの力ではなくて、詩的なイメージの連鎖で哲学的な含意を伝えていこうとするタイプの小説。この幻想的な世界に浸るのは楽しいけれど、読み終わったときに伝わるものは少ないのでは。これはちょっとインテリ向けの遊戯に終わっているかもしれない。

極北探検の話だったら、ジョン・フランクリンのことが僕はいつも頭から離れないな。その残酷なイメージが僕の心の中に貼りついている。

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