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ラヂオ頭

Radiohead_2008_01レディオヘッドの日本ツアー初日を観た(10月1日、大阪市中央体育館)。もうすでに全公演(大阪・埼玉・東京、それぞれ2日ずつ)が終了しており、ネットのあちこちでセットリストの比較や(レディオヘッドは公演ごとにセットリストを変えてくることで有名) 、各ステージの様子、そして様々な感想が飛び交っている。もはや情報的に付け加えることなど何もないのだが、ライヴは初体験だったファンのひとりとして、感じたことを備忘録的に書き留めておこう。

スタジアムでのロック・コンサートを体験するのは久しぶり。正直なところ、音響は相当悪い。ブログなどでは「(他のライブに比べて)音が良かった」と書いてあるものも多かったので、席のせいもあるかもしれない(スタンドで舞台を横から見ている感じだった)。まあ、クラシックのコンサートと同レヴェルで語るのは見当違いだろう。クラブのフロアなみにズンズンくる低音と、ガーガーというギターのノイズに塗り込められる感じ。そのアッパーな大音響空間に身を浸すのが正しい楽しみ方だ。

照明と映像プランが実に洗練されていて見事。エコがどうのこうのという話はとりあえず置いておいても、棒状のLEDライトを駆使したライティングは美しい。バリライト全盛の時代を思い出すと隔世の感がある。固定した小型のリモートカメラでメンバーそれぞれをとらえ、5分割のバックスクリーンに映し出すのも面白かった。

初日は「In Rainbows」の曲が中心だった。アルバムの印象としてはちょっと地味な感じもしていたのだが、どの曲も実にライヴ映えする出来栄えであることがわかり、アルバムの魅力を再発見した。全公演のセットリストを見ると、初日は無難な内容でサプライズは少なかったのだが、それでもやはり「Paranoid Android」は楽しかった。熱狂的なファンは初期の曲をやってほしいと思うらしいけれど、個人的には「OK Computer」以降の方が楽曲のクオリティは上がっている気がするので好き。

オープニング・アクトの Modeselektor (トムのお気に入りなのだろう。面白かった)を聴きながら思ったのだけれど、いまのレディオヘッドのちょっと普通でない曲展開は、クラブ・ミュージックの延々と続いていくプレイと少し似ているところもある。ひとつのリズム・パターン、ひとつの循環コードをずっと繰り返しながら、やがていきなり次のセクションに突入するという感じ。

しかしながら、いまのレディオヘッドの音楽はロックコンサートの共同幻想からはかなり遠いところにあるのではないか。オアシスのように皆で肩を組んでシンガロングするような感じではなく、バンドとリスナーがそれぞれ個別に結びついているようなタイプの音楽であるように思う。だからコンサートでも個人個人が強い思い入れを持ってバンドを見つめているような感じで、観客同士の間に連帯感が生まれるような雰囲気はあまりない。このあたりが、やはり優れて現代的なバンドだと思う。

いいライヴだった。でもやっぱり他のセットリストが羨ましい。次回来日時は本気で全公演制覇を狙うかもしれないな。

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