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ものを考えるということを考える

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)
内田樹「私家版・ユダヤ文化論」文芸春秋(文春新書)

内田先生の小林秀雄賞受賞作(おめでとうございます)。前から気になってはいたものの手を出さずにいたのだが、受賞をきっかけに読んでみた。「なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか」という問いが入り口だが、最終的に辿り付くのは、著者が師であるレヴィナスから示された「ユダヤ的なものの考え方」とはいったい何なのか、という問いだ。明晰な論理でユダヤ人問題を腑分けし、反ユダヤ主義の言説を分析していく文章は極めて読みやすい。しかしこの著作で本当に読むべきところは「結語」(pp.213~229)。「自分が犯したのではない罪についての有責性」をめぐるこの神学的な議論は確かに難解で、著者のいうところの「棘」だ。しかしその込み入ったロジックに分け入っていく感覚は実に魅力的。ユダヤ問題について語りながら、知的思考が基づけられているものとは何かを探求しているのだ。

私は「結語」を読みながら、カラマーゾフのことを考えていた。

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