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In the Flat Field

フラット革命
佐々木俊尚「フラット革命」講談社

2007年現在、インターネットが日本社会の言論に与えている影響をリアルに描き出している本。インターネットに接することを生活の一部としている人ならばとても身近に感じるであろう具体的な事例の数々が、議論の説得力を高めている。インターネットが既存のマスメディアの影響力を低下させ、個と個の言論が対等にぶつかりあう「フラット化」が進行する中で、日本社会は新たな「公共性」を確立することができるか、というのがこの著作のテーマとなっている。

言論のフラット化は避けようのない現象であり、しばらくは混乱が起きるものの、ネットというオープンな場での個と個の議論が続く以上、その結果としての公共性は確立しうる、というのが著者の到達した結論である。「ラディカルな民主主義」。なるほど、論理としては良く判る。しかしながらこの結論に対し、そんなにうまくいくものだろうか、という思いが拭えないのも正直なところだ。もちろん、インターネットのフラットな荒野でノイズに身をさらしながらも、セレンディピティによる出会いと対立を生きることができる人もいるだろう。しかし理由は様々であれ、そこに参加できない人々、あるいはそのように生きられない人々は予想以上に多いのではないだろうか。「ラディカルな民主主義」はそのような事態までを包含できるのか。そのときにマスメディアは、意外と力を持つのではないか?など。

インターネットの普及がポスト近代社会をもたらす、という基本的な視点に異論はない。しかしネット世界が一方的にリアル社会を凌駕し、変革するということはあり得ない。両者の死に物狂いの食い合いの中で、新しい社会秩序が誕生してくるはずだ。それはもしかしたら、悪魔的なものかもしれないが。

暗闇の天使 (紙ジャケット仕様)

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